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タンノイのエジンバラ
評価:
長嶋 有
文藝春秋
コメント:人生とはそれだけで劇的。黙ってても何もしなくても、何かが常に起こっている。そしてそれはいつも自分と誰かの間に。感動、でも共感、でも表し難い。人のにおいがする物語たち。

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「タンノイのエジンバラ」

まずは表題。なんぞや?と思い調べる。
タンノイというメーカーのエジンバラという種類のスピーカー?らしい。
アパートの隣に住む女の子を預かることになった、職探し中の男の話。


「夜のあぐら」

継母を憎む姉。
継母を突き飛ばし怪我をさせて以来、父親からもらうお金でふらふらしている弟。
仕事をやめ、バイト暮らしをする主人公。
父親の死が迫ったのをきっかけに、3人の人生が交わる。


「バルセロナの印象」

離婚した姉を慰めるためにスペイン旅行に出かけた主人公とその姉と妻。
妻と主人公の関係、姉と主人公の関係、それを見つめるそれぞれの視線が描かれる。


「三十歳」

不倫が相手の奥さんにばれたのがきっかけで仕事をやめ、パチンコ店で働き始めた秋子。
新人の年下の男と付き合うようになるのだが、彼は突然姿を消す。



人生そのものを描く作品。いや、作家?
職場の友人のすすめで知った人だが、本当に優れた文章を書く人だと感じた。
文学、という言葉がよく似合う。

読後がとても心地よい。
20:23 | な行(中嶋有) | comments(0) | trackbacks(0)
箱男
評価:
安部 公房
新潮社
コメント:ダンボール箱をかぶり生活するようになった男が、その覗き穴から窺う世界と、ぐるぐると渦を巻く彼の内面世界。彼の不思議な世界の渦にのまれ、本を閉じると同時に静寂の世界にぽつりと戻される。そしてまた渦に飛び込みたいと惹かれずにはいられなくなる、魔性の物語。

JUGEMテーマ:読書
JUGEMテーマ:小説全般
 
面白い。とても面白く、そして難解だ。
難解にも関わらず、途中で投げ出す気には一切ならない不思議な本だ。

私のもちあわせた脳みそで一読しただけでは
なんの感想も述べることが出来ない。

リゾート地かどこかで、波や風のさざめきを聴きながら
時間をかけて読み直したい
そんな本。

20:11 | あ行(阿部公房) | comments(0) | trackbacks(0)
ひとかげ
評価:
よしもと ばなな
幻冬舎
コメント:よしもとばななの代表作のひとつ、「とかげ」のリメイク。私は好き。より良いと感じた。

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「とかげ」のリメイク版。
こんなものが出ていたなんて知らなかった。

よしもとばななで好きな作品は?と言われたら
「TSUGUMI」と「とかげ」と答える。
そんな人は少なくないんじゃないかな。

最初は「え〜」と思った。リメイクなんてしちゃったら、前の「とかげ」が、前の「とかげ」を好きだと思った私の気持ちがなかったことになってしまうんじゃないか?って。

「ひとかげ」を読み、その後「とかげ」を続けて読んだ。
あれ?「とかげ」ってこんな作品だったか。
思えば「とかげ」を読んだのはもう何年前だったか。そのとき若かったのは作者だけではなく、私もそうだったのだ。

とかげとひとかげを読むと、作者が今描きたいもの、若かったなと振り返っている部分がよくわかる。
それはひとかげとしてのリメイクを作らなければ浮き彫りにならなかったかもしれない点であるのに、あえてそれをしたことに、とかげに対する作者の愛情が窺える。

ひとかげに出てくるとかげは、もっと人間に近くて、読者に心を開いている。
新たな感動だった。

19:59 | や行(よしもとばなな) | comments(0) | trackbacks(0)

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