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君に舞い降りる白
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舞台が鉱石店のため、石についての話題が色々と出てくる、ということ以外にはとりたてて特筆することがない作品。

昔の失恋をひきずり、「もう恋はしない」という決意を抱いていた主人公が、再び恋に落ちた相手は、昔の恋人の影を自分に重ね合わせていた。
という話。

もう恋なんてしないなんて
言わないよ
絶対。

一生1人の人を想い続けていくなんて、
する意味もなければ出来ることでもないんだろう。
人間は恋する生き物だから。

こういうあっさりした中身の作品なら、
もう少し短くまとめたほうが良かったのではないかと思った。
量が多いわりにストーリー展開がゆったりなので
「青春小説」と銘打っているにも関わらず、読後の爽快感がない。
残念。


16:06 | さ行(関口尚) | comments(0) | trackbacks(1)
ぼくと、ぼくらの夏
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高校2年の夏休みに、同級生の訓子が死んだ。
主人公の春一は、刑事の父親との2人暮らしをしている。
他人に無関心、クールな性格の彼は、同じく同級生のヤクザの組長の娘・麻子につれられて訓子のことを調べ始めたのだが、訓子には何か「隠したいこと」があったことが分かり・・・


というお話。
「青春ミステリー」という名前がこんなにぴったりくる作品は他にあるだろうか、という位爽やかなミステリーです。

特に主人公の春一くんのキャラクターがいいです。
麻子のようなキャラは、他の青春小説によくありがちなヒロイン像。
美人で、気が強くて、ちょっとわがままなんだけど、泣き虫。
ヒーローのありがち像といえば、ポジション的には「リーダーの親友」で、特別目立つわけじゃないんだけど、ちょっと世の中を斜めから見てるようなところがあって、ちょっと抜けてるところがあるんだけど、自分でも気がつかないうちに事件の真相の鍵を口にしてたりする(笑
(わかるわかる!!と思ってくれれば幸い)

ところが春一くんは父子家庭ということで、物語のしょっぱなから家事に追われています。追われてるというか、もう当たり前にこなしてます。お父様は何もいたしません。それでいて親子仲は悪くない。高校生の夏休み、受験生っていうわけでもないのに毎日のように参考書を開いている優等生かと思いきや、平然と煙草を吸い酒を飲む。どうやら学校に友達はいない模様で、本人はそれを意に介しておらず、しかしどうやら顔はイケメンのようだ。

いいねえ、この他人の気持ちに考えが及ばなくてそのことに気がついて反省するところなんて現代の若者っぽくていいね、なんて思ってたら、これ20年も前に出された作品て。私が思っていたより「若者」のありかたは変わっていなかったのか。それとも共感してしまう私が古いのか?
いやいや、そこは作者の筆力があるということで。

新装版にならなかったら、私はこの本と出会っていなかっただろう。
時代が変わっても色あせない物語はある。
どんどん教えて欲しい。出版社の方。ありがとう。


余談になるが、話の舞台に吉祥寺や中央線沿線の町が出てくることが多いような気がする・・・自意識過剰?知っている町が出てくると、リアルに場面が想像できて楽しいな。 映画館行くときに春くん探しちゃいそうw
00:59 | は行(樋口有介) | comments(0) | trackbacks(0)
私を見つけて
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こでまりさんの短編集。

この本の舞台はアメリカです。
5編のどれもが、主人公は日本人で、アメリカ人男性と結婚し、日本を離れて暮らしています。

「アメリカ人」とひとくちに言っても、人種のサラダボールと言われるアメリカで生粋のアメリカ人というのはある意味存在しない。
実際この5編にでてくる男性も、アフリカ系・インド系・北欧系・・・と様々。
つまりは、このどれもが「アメリカ人男性と付き合う日本女性の苦悩」として書かれているのですが、それが逆に、この本のテーマが人種にないことを物語っています。

アメリカ人だろうが、インド人だろうが、日本人だろうが、人は人。ひとくちに〜人と言ったって、個性がある。だから悩みだって出てくる。価値観の違いでぶつかる。

5つの物語では、相手のことを理解することで上手くいった愛もあれば、価値観の違いが許せずに破滅に終わった愛もあれば、愛しているのに離ればなれになってしまった愛もあります。
誰もが、「私を見つけてほしい」を思っている。
愛しい人に、見つけてほしいと思う。
それが愛ということなのだと、この本を読んで改めて実感しました。
14:21 | か行(小手鞠るい) | comments(0) | trackbacks(0)
魔王
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あーまたこれは評価の難しい本。
やっぱり伊坂さんって村上春樹氏に似ている。
と思うのは私だけではないはずです。
村上春樹も、時々、私にとって評価の難しい本を書く。
文章力がずば抜けているがゆえに、とっつきにくい物語でも「物語に魅力がない」のか、「私の読解力が足りない」のか分からず、様々な角度から検討して、どうにかその作品を「素晴らしい」と言わなくてはならないような気になるような、そんな作品である。

本作は、「魔王」と「呼吸」の中篇2作からなっています。
しょっぱな未来党の犬養、なんて出てくるものだから歴史物語パロディ版かしら、なんて思っていたら、主人公が相手を意のままにしゃべらすことが出来るという超能力(腹話術)に気がつきます。しかも題名が「魔王」。これはきっと主人公が超能力を使って「魔王」=犬養と対峙する、そして本人が知らぬ間に「魔王」と化してしまう物語に違いない!!
と、出だしから暴走して読み進めたら、けっこうな勘違いで、すっかり肩透かしをくらしました。

何か、物語の全てが「伏線」のまま終わってしまったような、
張り巡らされた「伏線」が、たどり着く場所を見つけられずに彷徨っているような。

もちろん文章の節々には、さすが伊坂さんだなあと思わせられるフレーズがたくさんあって、ごきげんようおひさしぶりのせせらぎくんのこともそうだし、(これも村上春樹を連想させるが)「考えろマクガイバー」という台詞だとか。

「命令」と「群集」のふたつが、人を突き動かすという場面は恐ろしかった。
恩田陸の物語を思い出した。
作品の題名は忘れてしまったが、村人が「神隠し」に会い、返ってきた人々は何かを「変えられて」しまう。主人公たちはその異変に気がつき、なんとか「連れ去られない」方法を考案するのだが、その間にも次々と村人たちは作り変えられていってしまう。
確か主人公たちは人を作り変える工場のようなものを発見し、その描写がかなーり恐ろしいものだったのだが、村の中で変えられていないのがいよいよ主人公たちだけとなった時、正しいことと間違ったことがひっくり返ったのである。

この結末は私にとってかなりの衝撃であった。
しかし考えて見れば、この民主主義社会においては、正しいこととは多くの人々と同じであることなのだ。もし何かのきっかけで、周りの人が同時期にAからBの考え方へ移行したとすれば、途端にAは非難され、Bが正義としてもてはやされるようになる。
もちろんこれは、流行好きな日本人ならではのことなのかもしれないが。

長くなったが、とにかくこれと同じような恐ろしさが本作にも感じられる。
本当に正しいことは、本当に自分が望むことはなんなのか。
それを1人1人が、ようく考えなくてはいけないのだ。
インターネットが悪いわけでも、この情報社会が悪いわけでもないだろう。
しかし何も考えないでいれば、流されてしまいやすい状況が、今の日本に整っている。
小学生の読書感想文の「コピペ」が存在し、自分の頭で考える前にパソコンの電源を入れるような時代。

・・・と、話がそれてしまいました。
たぶん伊坂さんは、こんな社会問題を提起したいがために物語を書いたわけではないでしょう。でも、読者が勝手に触発されて考えるのは勝手ですよね。

「呼吸」は、「魔王」の5年後の話。
犬養は首相に、そして「魔王」の主人公の弟が、「異常なまでの直感」という超能力を手にします。彼もまた兄と同じように、群集の流れの中で立ち止まる存在なわけですが、「呼吸」に描かれるのは彼の戦いへの「エピソード」のみだ。
テレビを見なくても、政治のことを考えなくても、空を見上げて呼吸さえすれば生きていけることを知っている彼。
同時に、兄の声に耳を傾け、お金で世の中を動かせるとも考えている彼。
本来なら、この物語の続きにこそ、小説らしい大冒険が待ち受けているに違いない。
それと同時に、何も起こらずに彼の人生は終わるかもしれない。

まるで恩田陸さんの「図書館の海」。
私としては、小説家になった以上、できるだけ読者の納得のいく形を示して欲しいものだ。
想像力に乏しい私に想像し得ないような物語を楽しむために、
私は小説を読んでいるのだから。
00:17 | あ行(伊坂幸太郎) | comments(0) | trackbacks(0)
ボロボロになった人へ
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はっきり言う。
私はこの本が嫌い。
まず「ボロボロになった人へ」という題名。
これを手にとってしまう自分にまず自己嫌悪だ。
心のどこかに、「私ボロボロだわ」と思っていなければ、
まず手に取らなかったに違いない。

さらに作者は「ボロボロになった人へ」向けてこの本を書いている。
少なくともこのような題名をつけたのだから、そうなのだろう。
ボロボロになった人へ向けて、ボロボロになっている人の話を
延々と書く。
私からしたら、「だから何」だ。

そうだ、題名がいけないのだ。
題名がこんな題名をしているから、
私はこの本に救いを求めてしまった。
それがそもそもの間違いだ。
この本に罪はない。
小説は私のカウンセラーじゃない。
だけど、そう私に勘違いさせないためにも、
この本はこんな題名にすべきではなかったのだ。

これはボロボロにはなっていない人のための本だ。
私はこの題名を心底憎んでいるように思う。
14:36 | ら行(リリー・フランキー) | comments(0) | trackbacks(0)
ST警視庁科学特捜班 緑の調査ファイル
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1億円のバイオリンが盗まれた―
1億円という規模に警察はやる気満々。STの出動要請を出す。
盗難事件にSTメンバーの活躍の場があるのか?
しかしそんな中、コンサートマスターが殺される事件が起こる。
翠の聴覚、そして青山の推理で事件の真相が暴かれていく。


さて、ページをめくりつつ「お?」と思った。
ふだんは事件が起きてから百合根が駆けつけ→STメンバー到着→メンバー紹介
という展開が多いのだが、今回はST室からのスタート。
さすがにそろそろパターンを変えないとと思ったのでしょうか。

それはさておき、青山きゅんがクラシック好きという新事実が判明。
さらに菊やんまで。今作、この2人のミーハーっぷりが可愛い(笑

今回は、翠の「音が聞こえすぎる」という苦悩に関して語られます。
確かに、音楽なんてとても楽しめなさそう・・・
ラストで翠が聞いたオーケストラの音楽は、
一体どんな音を奏でていたのでしょうか。

そして気になるのが翠と菊やんの恋の行方。
黒のモスクワだったかな、で、飛行機の中でいい感じになって以来
細々と描かれていた菊やんの想い。
今回初めて翠が菊やんへの好意をみせた???

しかし個人的には青山きゅんと翠の関係も気になっているわけです。
だっていつも登場するときは翠と青山きゅんって一緒に来るし、
今回だって青山きゅんは真っ先に翠をコンサートの相手に誘ったし、
STが始動しているとき、いっつも2人の立ち位置が
隣あっていると思うんだよねえ。
姉弟的な感覚なのかな???


実写版・翠は山田優でしょうねー
個人的には松雪泰子がいいんですが。
14:21 | か行(今野敏) | comments(0) | trackbacks(0)
ST警視庁科学特捜班 黄の調査ファイル
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とあるアパートの一室で、若者4人が死んでいるのが発見される。
部屋には七輪が置いてあり、窓に目張りも張られていることから
集団自殺ではないかと考えられていたが、またもSTが矛盾をつき、
殺人を視野にいれた捜査を始める。
調べていくと、4人はとある新興宗教に入っていたことが分かり・・・

曹洞宗のお坊さんである山吹さん。
今回の禅の修業のシーンでは、なにやら癒されました・・・
というか、座禅組みたい!
お坊さんに徳のある言葉を言われたい!!
という情熱にかられました(笑

しかし今野さんは物知り?というか、
そりゃあ文献とかで調べたりもしてるんだろうけど、
STのメンバーの特性上、薬学のことも、宗教のことも、
音響のことや武術のことまで、色々と詳しくなくちゃいけない。
毎度毎度、STシリーズでは何かしらの薀蓄が身につきますね。
と言っても、読み終わるとすぐ忘れちゃうんですけど。

事件のこともさながらに、STシリーズで語られる
薀蓄について考えをめぐらせてみるのも
作品のひとつの読み方かもしれない。


ちなみに実写版・山吹は・・・
一瞬海老蔵さんが浮かびました。
髪型だけの問題かもしれない。
14:04 | か行(今野敏) | comments(0) | trackbacks(0)
ST警視庁科学特捜班 赤の調査ファイル
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インフルエンザで医者にかかった男性が急死。
彼はめずらしい、スティーブン・ジョンソン症候群という病気だった。
医療ミスがあったとして妻が訴え、刑事事件に発展する。
捜査に乗り出したSTだったが、訴えられた大学病院は、
赤城が昔勤めていた病院であった。
明かされる赤城の過去と、暴かれていく大学病院の実態。


STシリーズにしてはめずらしく(というか初めて?)
大学病院の実態という社会的問題の提起を伴った作品。
そこに描かれるのは、「白い巨塔」などにも見られる、
ヒエラルキー社会と、なおざりにされる患者の姿。
そこからはじきだされた、過去の赤城。
なかなかシリアスです。

そうして迎えるラストの展開もなかなか、
盲点をつかれました。
こうしてSTメンバーの1人に重点をおいた作品を読むにつれ、
STメンバーへの愛着が深まっちゃいます。
すっかり作者の目論見にはまっている感じ・・・

実写化するなら赤城は・・・
うーん、江口洋介あたりなんてどうかな。
ってあげる人物が古いんだけど;
でも芸能人あんまり知らないから;;;
13:54 | か行(今野敏) | comments(0) | trackbacks(0)
南の島のティオ
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題名の通り、南の島に住むティオくんの話。
ティオくんの話というよりは、ティオくんの住む
島に訪れてくる人にまつわる物語。

この本を読むと、南の島に住みたくなります。
無駄なものがない島。
神様の住む島。
不思議なことが起こる島。

決して悲しい話ではないのだが、
なんだか無性に泣きたくなり、
決して訪れたことはない島なのだが、
なんだか無性になつかしい。

自然の心、というものを
真に理解している人でなければ書けない本だと思う。
00:07 | あ行(池澤夏樹) | comments(0) | trackbacks(0)
六枚のとんかつ
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さーて、こんなに評価が難しい本がかつてあっただろうか。
「本」として、「ミステリー」と書いてしまったことにおいて、
☆ひとつとさせていただいた。

だってこれギャグ漫画・・じゃなくてギャグ小説?
おまぬけ保険員の推理短編集になっているのですが、
最初の短編を読んだときは、
あきれればいいのか笑えばいいのか
作者は一体真面目なのやら不真面目なのやら
さっぱーり分かりませんでした。
このむかつくまでの下手くそさ。
しかしこの下手くそさが、くせになるっちゃあ、くせになるんだよねえ。

23:57 | さ行(蘇部健一) | comments(0) | trackbacks(0)

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