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悪夢のエレベーター
JUGEMテーマ:読書


小川順が目を覚ますと、そこはエレベーターの中だった。
中には中年男とオタクと魔女。
浮気相手のアパートからの帰り道のうえに妻は出産間近。
助けを呼ぼうにも携帯もなく、中の3人には犯罪歴があることさえ判明!
大ピンチの小川。
そしてエレベーターの中で、ひとつの事件が起こる。


軽快にどんどん進む、ギャグとしか思えないストーリー展開に登場人物のやりとり。
行動のほとんどが行き当たりばったりのはちゃめちゃ。
なにしてんねん、とクスクス笑いながらページを進めていくと、
最後の最後に読者を迎えるのは、シリアスでホラーな結末。

今までにない、ものすごく微妙な立ち位置から描かれた作品だと思います。
最後3ページ前までの徹底したコメディぶりがあったからこそ、
この結末が際立って怖く感じられるのでしょう。

ただ、一人一人のキャラがもう少し色濃く描いてあればなあ、という
ちょっともったいない感もありました。
 
 
14:03 | か行(木下半太) | comments(0) | trackbacks(0)
悪魔とプリン嬢
JUGEMテーマ:読書


最近パウロ・コエーリョの本に疲れ気味だったのですが、
こーれは良かった!というか読みやすかったですね。
やっぱり全体を通して宗教色が濃いパウロ作品なので、
無宗教日本人の私にとって「入り込めない」と感じる場面が多々あり、
それが占める割合が多い作品は「面白い」と感じることが難しかった。
でもプリン嬢は、「善と悪」というテーマで、日々生活の中でしみじみと考えさせられる事柄でもあったことが幸いしたのか、心に響く作品になった。

舞台は小さな小さな山間の村、ヴィスコス。母親を亡くしてみなしごになったプリン嬢は、とある小さなバーで働いていました。皆が生きていくことに夢中で、大きな変化の起こらない、素朴で穏やかな村。
ところが、ある日村にやってきた旅人が、村に大きな波紋を呼び起こすこととなります。

彼は妻と子供を殺され、人の「善」が信じられなくなり、ある実験を行おうと考えたのです。それは、「1週間以内にひとつの死体が出れば、金塊を村に差し出す」という取引でした。さらに彼は、11個ある金塊のうち、ひとつをプリン嬢の目の前で山の中に埋めます。金塊を持って村を逃げだすのも、村人にこの取引のことを話すか否かも、プリン嬢に委ねられました。

結局は彼女は村人に取引のことを話すわけなのですが、物語を通して旅人、プリン嬢、村人それぞれの中で悪魔と天使とがせめぎ合い、時にどちらかが顔を出し、また時に他方がそれを押しとどめるという、人の心の善悪の揺らぎの姿が描かれます。

どの登場人物の立場にも、どこか共感できる考え方がある。
ストーリーの面白さと、考えさせられる思想とが上手く絡み合った作品。
11:49 | 海外(パウロ・コエーリョ) | comments(0) | trackbacks(0)
穴 HOLES
評価:
ルイス・ サッカー,幸田 敦子
講談社
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いやあ、面白かった!

「穴」っていう題名といい、表紙の変なもぐら(違う?笑)と玉葱といい、
なんか変な話っぽいなあと思ってあんまり期待しないで買ったのですが、
これは読んでみたらまさに「少年版ショーシャンク」でしたね。

まず設定からして笑えるんですが、主人公はスタンリー・イェルナッツ4世。
4世って言ったからってすごい血筋のおぼっちゃんとかでは全然なく。
stanley yelnats。はい、さかさまから読んでもー!
ってわけで代々イェルナッツ家の男の子はスタンリーと名づけられたわけです。
ところがこのイェルナッツ家、初代スタンリーが豚を盗んだせいで代々まで呪われることになってしまって、まるで運がない一家になってしまったわけです。そんな一家の口癖はといえば、「あんぽんたんのへっぽこりんの豚泥棒のひいひいじいさんのせいだ!」

例にもれず、4世スタンリーもスニーカー盗みの冤罪で捕まり、少年更生施設ともいえるグリーン・レイク・キャンプに送り込まれることに。
そこで行われていたのは、ひたすらの「穴掘り」。
少年を更生させるためなんていうのは名目上のこと。所長は何を探しているのか?
ある日とうとうスタンリーは脱出を決意、ひいひいじいちゃんの言った約束の地を目指して旅立ちます。

冒険と、友情と、少年の成長する姿と、ユーモアと、大人たちの欲望。
ほんとうに色んなものを詰め込んだ、誰もが楽しめる作品だと思います。
この作品をあんなに目だって平積みにしていた本屋さんに大感謝。
自信を持ってオススメする一作です。

11:15 | 海外(ルイス・サッカー) | comments(0) | trackbacks(0)
ST警視庁科学特捜班 青の調査ファイル
JUGEMテーマ:読書


本屋さんで3作目の「黒いモスクワ」がなかったので、先に青のファイルのほうを購入。
色シリーズがあるってきいて初めてSTメンバー全員の名前に「色」が入ったことに気がついたというにぶちんなのですが、とにかくこれは文書鑑定担当の青山翔の物語なのだなと思いつつ表紙を開きました。

今度は事件はひとつ。
心霊番組の撮影中に、ディレクターが首を骨折して死亡。
警察は泥酔していたディレクターが脚立から落ちた事故死としたが、またも青山が死体がうつぶせだったこと、部屋が暗闇だったことに疑問を持ち、STは殺人の可能性を追って調査を始める。

今回はさすが「青の章」というだけあって、めずらしく青山きゅんが終始やる気を出しています(笑)
といっても、興味の9割は事件を「霊障だ」という霊能者の安達に向けられているのですが。
青山きゅんは前作でホームレスとの会話を楽しんだり、事件が霊の仕業という、一般人ではなかなか信じられないことに真剣に聞き入ったり、実に可愛らしいのです。そのくせ(?)、それがきっちりちゃっかり真相に結びついちゃうのです。
実写化されるとしたら・・・うーん、超美青年とは言いがたいけど(失礼)、ウエンツあたりがあたしの中ではしっくりきますか。

さて、次作も楽しみです。
11:12 | か行(今野敏) | comments(0) | trackbacks(0)
ST警視庁科学特捜班―毒物殺人
JUGEMテーマ:読書


ST2作目。

東京の公園で若い男の変死体が発見されます。
男はジョギング中に心臓麻痺を起こして倒れたと見られていたが、青山が倒れていた場所が歩道から離れていたこと、所持品を何も持っていなかったことに疑問を持つ。
そこにまた別の公園で死体が発見される。調べてみると、両方の事件でフグの毒が見つかり、ふたつの事件の結びつきを追ってSTが始動する。

今回は心理戦が中心かな?
少しずつもつれた糸が解けていく感覚が心地よいです。

愛が憎しみに変わる事件は本当に多い。
最近では家族内で起きる事件のニュースをよくみるし。
自分のことだけではなく、周りの人の気持ちも考えて生きていかないと、
いつか手痛い目にあうかもしれない。
手痛いことをした人がもちろんいけないんだけど、
人に恨まれるような人間にならないように生きていくことだって
大事なのかもね、と語りかける作品。
10:59 | か行(今野敏) | comments(0) | trackbacks(0)
ST警視庁科学特捜班
JUGEMテーマ:読書


今はまってるのが今野敏のSTシリーズ。
いまのとし、かと思いきや、こんのびん。

警視庁にSTと呼ばれる、プロの研究員を集めた科学特捜班が結成されます。
しかしこのメンツがなんとも問題児揃い。ていうか極度のKY。
で、そのまとめ役として選ばれたのがキャリア組の百合根さん。
百合根さんは警察とSTとの間を取り持とうとヤキモキしんがら奮闘するのですが、まあSTが言うことを聞かない聞かない。結局STの我侭っぷりに振り回される百合根さんなわけですが、さすがはST、勝手気ままに動いていると思わせつつちゃっかり事件の真相に近づいていきます。

今作では、ある中国人ホステスの死体が発見されます。部屋はめちゃくちゃに荒らされ、女性には強姦された後。さらに同じく中国人ホステスの変死体が発見されるのですが、今度は乳房が切り落とされるという猟奇性が見られる上に、強姦され残された精子の血液型は前の事件とは違うもの。さらに起こったもうひとつの事件でも、浮かび上がったのは異なる血液型の精子と、異なる性格を持った犯人像。
果たしてこれは同一犯人による連続殺人事件?
模倣犯による犯行?
はたまた中国人マフィアの抗争??
STの文書鑑定担当、美青年青山くんが活躍します。

警察ものの話にしてはびっくりするくらい軽いタッチ。
推理物を読んでるとは思えないくらいにすらすらと読めます。
かといって事件の組み立てが疎かにされているかというとそうではなく、まさに絶妙のバランスで作り上げられている物語だと思います。
10:26 | か行(今野敏) | comments(0) | trackbacks(0)

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