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明日の記憶
JUGEMテーマ:読書


若年性アルツハイマーにかかってしまった、広告営業部長のお話。


神様のくれた数式、私の頭の中の消しゴム、等
記憶を失うというテーマは珍しいものではないです。
意地悪な言い方をすれば、記憶を失っていく、と認識しながら記憶を失うことは、多くの人の心に響きやすいテーマ。だってなにをどう考えたって、せつない。
だからこそ、それを作品にするときには、そのテーマに負けない要素がいると思うんです。

たとえ感動したとしても、だってそれをテーマにされちゃしょうがないよ、と思わせたら負けだと思うんですよね。映画とか特に小説だと。
映画だと俳優さん女優さんの力量によってだいぶかわってきたりすると思うんですけど、小説の場合ストーリー展開が大きく左右するので。
と、いう個人的な価値基準のせいで、こういうテーマの作品に対しては辛口です。

そういう意味で、本作は物足りなかったんじゃないかなという印象。
焼き物というサブストーリーをいれることで物語りに厚みをもたせてはいるものの、アルツハイマーの告知を受けてからの仕事場でのエピソード、妻の苦悩、娘への想い、などは、平凡すぎるほど平凡な印象。
この本ならでは!という楽しみがなかったのが残念です。

世界の中心で愛を叫ぶ、とか、恋空、とか、
流行ってはいるけれども、あれらの作品はテーマに頼ってるとしか思えない。
恋空みてないけどさ。死と生をあんなにストレートな形で表現する作品は、
それも映画にしちゃったらそりゃあ多くの人に感動と涙を与えると思います。
でもそれは、作品としてのオリジナリティやコダワリってものがしっかりしてないと、ただ力が足りていないので容易く大衆を感動させるテーマを選んだ、というようにしか思えない。だからこそ、そういうテーマを選ぶということは、逆に厳しい世界に足をつっこむことになることを覚悟の上でやらなきゃいけないのだと思いますね。

・・・と、なんだかすごく偉そうなので恥ずかしいですけど
まあ、たかだかイチ意見です。
テーマに流されて感動するのが嫌やねん。だってお話はアートだから。
12:59 | あ行(荻原浩) | comments(0) | trackbacks(0)
絵描きの植田さん
JUGEMテーマ:読書


いしいしんじさんの本は、
ゆったりと一文字一文字かみしめながら読みたくなります。
これまたそういう種類の本だなあ、と思ったので、最初から最後まで、声を出して読んでみました。
はたから見たらいかれちゃってる人だけど
朗読なんて小学校?中学校?の国語の授業以来くらいかなあ、と思うと、なんだか新鮮でした。
小説という種類の本を、趣味で読む時にはそれをするのは作者に対して失礼とは分かっていながらも、無意識のうちにしてしまう「飛ばし読み」というものを一切しないで本を読んだのも、稀少な体験だったのではないかと思います。
薄くて文字が大きい本なのに、何日もかけて読みました。
そんな機会を与えてくれたこの一冊に感謝。
11:48 | あ行(いしいしんじ) | comments(0) | trackbacks(0)
陽気なギャングが地球を回す
JUGEMテーマ:読書


すきすきー
こういうテイスト。

嘘を見抜く才能をもった成瀬と
口から出まかせをつかせたら右に出る者はいない響野と
スリ名人の久遠と
正確な体内時計を持つ雪子。
この非凡な4人組は銀行強盗。
なぜ彼らは銀行を襲うのか?
彼らは言う。
「わたしたちが求めているのはロマンなんだよ」

ところがあるとき、銀行強盗の戦利品を「じめじめとした、暗くて残酷な、金の稼ぎ方」をする、「中学生がやるカツアゲと何ら変わらない」、「こそこそして姑息な」輸送車襲撃犯に横取りされてしまった。
ふたつの銀行強盗犯が互いの逃走中にかちあった、これは奇跡のような偶然なのか、それとも誰かの裏切りなのか?奪還に動いた彼らの前にはひとつの死体が現れる。

とにかく軽快愉快爽快なサスペンス。
23:10 | あ行(伊坂幸太郎) | comments(0) | trackbacks(0)

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