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女について
走る女。
恋を売る女。
ラムコークを飲む女。
イヤリングをはずす女。
ちょっとした、ほろ苦い恋の想い出と、
売れない?小説家と、
その友人の話。

どっかずれてる、抜けてる男の人が主人公の話って
やっぱり憎めないよね。
23:56 | さ行(佐藤正午) | comments(1) | trackbacks(2)
蛇行する川のほとり
超美人の憧れの美術部の先輩、芳野と香澄から夏休みに舞台背景の絵を描きあげるための合宿に誘われた毬子。幼い頃に遊んだ「船着場のある家」での合宿場で明かされていく、遠い過去に隠された殺人事件の秘密とは。

相変わらず、美男美女ばかり登場する恩田作品(笑
レズとかそういうことではなくて、女の子は自分にはないものを持つ女の子に惹かれ、同時に嫉妬するもの。めんどくさい生き物です。
恩田さんは登場人物に「秘密」を隠すのがすごく上手い。
もう登場人物のどいつもこいつも「怪しい」んです。
普通の作品だと、怪しい人物って主人公以外の何人か、なんだけど、
恩田作品に関しては主人公さえ怪しい。むしろ主人公が一番怪しいんじゃないか、とすら思える。
今作品でも、恩田さんの「どんでん返し」の後の「どんでん返し」があることをすっかり忘れていてやられてしまいました。
普通最終章のエピローグ的な部分って、問題が解明されてその後〜みたいな感じでまったりするじゃないですか。恩田さんは一回まったりさせて読者が「ふう」っと息をついた瞬間を狙ってまた「ぶすり」と刺してくるんですよね。読者の呼吸をよく分かってる。

最近恩田作品に飽きがきていた私ですが、今回は楽しく読めました♪
20:14 | あ行(恩田陸) | comments(0) | trackbacks(0)
暗いところで待ち合わせ
久しぶりの乙一作品。
ホラーか?!と思わせといて違います。

殺人犯が逃げ込んだのは盲目の少女の家。
少女はその存在に気がつきながらも、知らないふりをして過ごす。
そうやって始まった奇妙な同棲生活。

設定がもー面白い。
ストーリー展開はまあ予想通りなんですけど、
そこにいたるまでの書き方がすごく上手いと思う。
なんか、良かったなあ。うん。心が温まったよ。
22:30 | あ行(乙一) | comments(0) | trackbacks(0)
慟哭
ジャケ&タイトル買い。古本屋にて。
連続幼女誘拐事件を追う刑事佐伯と、娘を亡くした悲しみに耐え切れなくなった松本が
宗教に依存し、やがて娘を復活すべく黒魔術に手を出していくさまの
二つが交差しながらこの物語はすすむ。
さすがに宗教、黒魔術というテーマはついていけなかったが、
実際にそのようにのめりこんでいる人もいるのだから、必ずしも非現実的ではないし
共感できなかったからといってこの小説が駄作というわけではない。

むしろこの小説は素晴らしい。
そこに張り巡らされる伏線が、実に巧み。
正直、この小説に仕掛けられた「大どんでん返し」には、
完全とは言わないまでも途中から薄々気がついた。
それでもあたしがこの本をいい、と思うのはなんでだかよくわからない。
本の批評って苦手だ。
人でも本でも映画でも、雰囲気を感じて好き嫌いを決めるからかな。

「慟哭」って言葉も好き。
張り裂けそうな悲しみ、やるせなさ、憎しみ、叫びたいけど叫べない、
そんな感情を全部表している感じで。
この本の中にたった一度だけある「慟哭」という言葉、
タイトルにしているだけあってどこでどのように使うかっていうのはすごく重要。
その点、気に入りました。

読みたい、と思わせてくれる作者が見つかるとうきうきする。 
22:29 | な行(貫井徳郎) | comments(0) | trackbacks(0)
ダ・ヴィンチ・コード
小説としてももちろん面白いんだけども、
「事実に基づいた」様々な秘密が。
「最後の晩餐」にあんなにたくさんの秘密が隠されていたなんて。
んーほんとに驚き、楽しい。
導師の正体も見事にひっかかりましたー作者の思う壺の間違いかたしました;
でもあの人を導師にするのはちょっと偶然に頼りすぎっていうか
そういえばそもそもあの人の登場の仕方ってちょっと無理やりだったというか・・

歴史学の先生も言ってた、事実と史実は違う。
歴史として選択された事実のことを史実といって事実とは区別するんだって。
過去の全ては残らない、あたしの人生も未来に残らないのと同じように。
だからってその過去がどうでもいいわけではなく、
誰が知らなくても未来に今や過去は繋がっていく。事実は事実として消えない。

だから様々な過去に思いをめぐらすと楽しいですよね。
歴史を紡いでいくことも、この本で秘密文書のありかを示すキー・ストーンの暗号を解読していくような行為なんだろう。
与えられたヒントを繋ぎ合わせてつくっていくもの。
教科書に載っていることも、もしかしたらものすごい大間違いをしているのかもしれないし。

フランスに行きたくなってきたなあ
ルーブルは本当に素敵。
22:27 | 海外(ダン・ブラウン) | comments(0) | trackbacks(0)
黒と茶の幻想
ラブ恩田陸です。
恩田さんにしてはめずらしく、ある意味「何も起こらない」作品のまま終わったのに驚く。4人の男女が旅行に行き、「美しい謎」を解きながら過去の真実を探し当てていく物語。

いまいち入り込めなかったのは、主人公が30代後半っていう歳だったからかなあ。40近くになってもやっぱり恋心は今と変わらないのかなあとか、40近くの美人って芸能人でもないのに・・とか変なとこ違和感感じちゃった。

でもやっぱりその語り調だとか、次々と出てくる「美しい謎」に対するアプローチだとか、そういうところはさすが恩田さん!と思わせられます。恩田さんの文章ってどことなく哲学的であって、詩的。それがああ、そうだよなあ、と自然に思える事柄。ストーリーに全然関係ないところでさえ感嘆しちゃいますね。

あー。本がとまりません、最近。
今日は何買おう。
お金ないのに!ヘルプ!
22:26 | あ行(恩田陸) | comments(0) | trackbacks(1)
死にぞこないの青
小学5年生のマサオは引っ込み思案の恥ずかしがりや。
そういう性格から、先生から不当な扱いを受けるようになり
それはやがてクラス全体へと広まっていく。
「ゴミ箱」のようになってしまったマサオの前に現れたのは、
顔が真っ青、手足は拘束され、口の裂けた傷だらけの「アオ」。
「アオ」の声に導かれマサオは・・・

人間の弱さ、醜さってものをすごくリアルな形で提示する物語。
いじめられる少年の心の変化がとても丁寧に描かれていて、
作者はいじめられっこだったのか?!とでも思わせられる。

怖いなあ、ホラーじゃなくて、こういう静かでリアルなのが一番怖い。
ほんとに「ありそう」なんだもん。
今の世の中で、こういう事件が明日テレビで報道されても全然普通。
で、それが普通になってるってことが一番怖いんだよね。
22:25 | あ行(乙一) | comments(0) | trackbacks(0)
麦ふみクーツェ
評価:
いしい しんじ
理論社
(2002-06)

いしいしんじさんは「ぶらんこのり」で初めて読みました。
読んでいて心がほんわかする物語を書く人です。
ひらがなってあったかい。いいな、ひらがないいな、
いしいさんの本を読むと改めてそう思います。
カバーもかわいい。

主人公は心臓に病気をもってとても背が高くなった、「ねこ」
ねこのお父さんは数学者、おじいちゃんは音楽家。
ねこは屋根裏部屋でクーツェに出会います。
とん、たたん、とん、とクーツェは麦ふみを続けます。

麦ふみにいいもわるいもないんだよ、というクーツェの言葉が心にしみます。
麦をふむのは麦を強くするため、踏んでだめになってしまう麦も
畑の肥やしとなります。
やんわりとしたひらがなで綴られる物語だけど、
踏まれても踏まれても真っ直ぐに伸びていく麦のように
芯がとても強い。

ラストはもう少し違う風でも良かったな、と思うけど
クーツェに隠された意味、良かった。

誰もが「ひとり」であって、言わば誰もがたぶん「へんてこ」で、
そういう自分が自分であって良いと信じるために、何か「わざ」を磨かなきゃならない。
あたしも何か、わざ、あるかなあ
22:23 | あ行(いしいしんじ) | comments(0) | trackbacks(0)
黄泉がえり
評価:
梶尾 真治
新潮社
(2000-10)

映画、観てないけど、やってたなあと思って手にしてみました。
感想は・・・んーいまいち。
熊本市で死者が次々とよみがえってくるって設定は面白かったと思うんだけど、
戸籍のために市役所に人が殺到するとかって、えーそこなの?みたいな・・
死者がよみがえってるのに真っ先に行くのが市役所なのかい。
その、死んだと思ってた人に生き返られちゃった人の気持ちってのは
よく描写されてたと思うし、思うんだけどちょっとあちらこちらの事例を
あげるものだから感情移入は難しかったし、
同じような話が続いてちょっとだるいなって思った。
最後のしめかたもちょっとねぇ。
ずるいよねぇ。

22:22 | か行(梶尾真治) | comments(0) | trackbacks(0)
ヴァンサンカンまでに
あ、なんかノナミさん久々だ。
独特の物語を綴る人。
感性が、たぶん世の中の「まっとう」とは少し違うのかな、なんて。

フランス語やってるくせに ヴァンサンカンとvinght cinq ans (25歳)が結びつかなかった・・・ 致命傷かも。だってカタカナで書くとどこか地中海の街の名前みたい。

きっと男の人はこれを面白い、と言う人は多くないんじゃないのかなあと思う。
あたしだって別に主人公の翠みたいに、打算的な恋や不倫をしてるわけじゃないけど、なんかちょっと突っ張ってるところ、少し共感。

翠のそういう「愛」への距離感の原因となった、過去の話にもう少し詳しく触れてみてもよかったんじゃないかなぁと思う。最後まで彼女が「愛とは何か」を知ることができなかったという結末は、ありきたりではないって点で良かったかなあ。
早く翠に「家」ができればいいな、と思った。
22:20 | な行(乃南アサ) | comments(0) | trackbacks(0)

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