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評価:
乃南 アサ
文藝春秋
コメント:お見合い結婚をした相手の家族は、全員が文句のつけようがないほどに「良い人」たちであった。しかし、暮らしていくうちに、その奥に潜む「何か」を感じ取り、主人公は深い深い疑心暗鬼の泥沼にはまっていく。
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疑心暗鬼、という言葉は普段何気なく使っているけど
こうして「暗鬼」という題名にされると、何かものすごく力を持った言葉のように感じられてくる。
暗い鬼ですよ。
疑うということは、暗い鬼に心を支配されるってことなんですよ。
日本語、こえぇ。
そんでもって、こういう怖さを淡々と語れるのが乃南さんであるわけで。
乃南さんの作る話は、本当に先が読みにくい。
疑心暗鬼がテーマということで、最初は普通に良い人にみえた家族が実は裏があって、
それを少しずつ主人公が化けの皮をはがしていく話か・・・
と思いきや、途中の主人公の狂いようを見て
あれ?実は何でもなかったのに疑心暗鬼にかかって良い人までもを悪者にしたてあげてしまう
心の闇を書いた作品なのか?
・・・と思わせておいて実は実はー!
ふー。
というような読者混乱作戦が乃南さんはお上手なのです。
と私は思うのです。
ところで今私の手元にあるのは、角川文庫でした。
文春からも出してるのね?
同じ文庫本を違う出版社から二つ出していいの?
本屋で働いているのに分からない私でした;