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評価:
パウロ・コエーリョ
角川グループパブリッシング
コメント:著者・パウロ・コエーリョの自伝的小説。こういう本は、自伝として楽しんでいいのか、それともそういう観念を持って読むべきではないのか、というスタンスが難しい。兎にも角にも、少なくとも以前の作品を3作は読んでから本書を手にすることをおススメする。
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今までの作品とはうってかわって、作者自身を投影したと思われる
中年男性が主人公の物語。
彼は小説家として大きな成功を収めていたのだが、
ある日突然妻が失踪してしまう。
捜査によれば、彼女はある男性と一緒にいたという・・・
彼は真実を求めるべく、妻の足跡を辿っていく。
その過程で彼は妻の本当の姿を知り、また彼自身大きく変わっていくこととなる。
パウロ・コエーリョが描いてきた今までの物語では、
彼の持つ(ある意味での)宗教観の中にひきずりこまれることになっていたが、
今回は彼がなぜそのような宗教観を持つようになったのか、という
過程を示している。
そのため、今までに感じていた作者との距離感が
ぐっと縮んで、とても親近感の持てる作品になっているように感じた。
ただ・・・うーん、なんだろう。
読み手の勝手な妄想なんだけれども、
純粋な物語としては読めなくて、
ともすれば人の日記を読んでいるような気持ちになってしまい
少し恥ずかしかったりもした。
やっぱり今までの作品のスタンスのほうが私は好きかな。