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評価:
小手鞠 るい
幻冬舎
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こでまりさんの短編集。
この本の舞台はアメリカです。
5編のどれもが、主人公は日本人で、アメリカ人男性と結婚し、日本を離れて暮らしています。
「アメリカ人」とひとくちに言っても、人種のサラダボールと言われるアメリカで生粋のアメリカ人というのはある意味存在しない。
実際この5編にでてくる男性も、アフリカ系・インド系・北欧系・・・と様々。
つまりは、このどれもが「アメリカ人男性と付き合う日本女性の苦悩」として書かれているのですが、それが逆に、この本のテーマが人種にないことを物語っています。
アメリカ人だろうが、インド人だろうが、日本人だろうが、人は人。ひとくちに〜人と言ったって、個性がある。だから悩みだって出てくる。価値観の違いでぶつかる。
5つの物語では、相手のことを理解することで上手くいった愛もあれば、価値観の違いが許せずに破滅に終わった愛もあれば、愛しているのに離ればなれになってしまった愛もあります。
誰もが、「私を見つけてほしい」を思っている。
愛しい人に、見つけてほしいと思う。
それが愛ということなのだと、この本を読んで改めて実感しました。