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評価:
リリー・フランキー
幻冬舎
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はっきり言う。
私はこの本が嫌い。
まず「ボロボロになった人へ」という題名。
これを手にとってしまう自分にまず自己嫌悪だ。
心のどこかに、「私ボロボロだわ」と思っていなければ、
まず手に取らなかったに違いない。
さらに作者は「ボロボロになった人へ」向けてこの本を書いている。
少なくともこのような題名をつけたのだから、そうなのだろう。
ボロボロになった人へ向けて、ボロボロになっている人の話を
延々と書く。
私からしたら、「だから何」だ。
そうだ、題名がいけないのだ。
題名がこんな題名をしているから、
私はこの本に救いを求めてしまった。
それがそもそもの間違いだ。
この本に罪はない。
小説は私のカウンセラーじゃない。
だけど、そう私に勘違いさせないためにも、
この本はこんな題名にすべきではなかったのだ。
これはボロボロにはなっていない人のための本だ。
私はこの題名を心底憎んでいるように思う。