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サンカクカンケイ
評価:
小手鞠 るい
新潮社
コメント:強引で傲慢な龍也。幼馴染で、優しくずっとそばにいてくれた俊輔。「恋」とは一体なんなのか。それが見えたとき、アカネは自分の進む答えを知る。

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好きで好きで、溺れるような恋をした龍也。
恋に破れ、それでも忘れられずにいるアカネに、自分がそばにいると伝える俊輔。

ああなんてベタベタなサンカクカンケイ!
「龍也」がオラオラ系で「俊輔」が癒し系とか、もう名前の決め方までベタ。
それなのに何故か面白い小手鞠るい。
うーん不思議だ。

きっと私の他にも多くの人が思っているはずなのだけれど、
私にとってもこれは「私の物語」。
そう、冒頭に書いてあるとおり、これは「愛する人を失った全ての人に」捧げられた物語なのだ。
痛みの箱をひらいて、さよならサンカクいたしましょう。

19:27 | か行(小手鞠るい) | comments(0) | trackbacks(0)
玉手箱
評価:
小手鞠 るい
河出書房新社
コメント:女性の「性」や「妊娠・出産」に真正面から向き合った、小手鞠るいのデビュー小説集。

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女性が書く、女性にしか分からない女性ならではの苦悩。
私はフェミニストなのかもしれない。
心のどこかで、現代に生きる女性は男性よりも絶対的に苦悩が多い、と信じている部分があるのかもしれない。
それでいてそう主張するのは恥ずかしいことだとも感じている。
それは自分がそう思っているのか、それともそういう女性の大変さを語ったときに少なからず注がれる男性からの冷たい視線が嫌だからだろうか。

「卵を忘れたカナリヤ」では、不妊治療が生々しく語られる。
「いつかは私も女だし子供を産むだろう」なんてことを盲目的に信じられているのは何故だろう。
子供がいない人生を想像したこともない。
しかしそれは本当に当たり前のことだろうか?
もし子供が産めない体だったとしたら?
その女性は女として、人間として「不完全」というレッテルを貼られても仕方がないのだろうか。
逆に男のほうに不妊の原因があったとしたら?
女ほどに周りから責められるだろうか。
女ほどに、子が産めないということに屈辱感と申し訳なさを感じるだろうか。

「うまずめ」という言葉は、子を産めない女、産まず女から由来し、石女という漢字を当てられる。
米も野菜も育たない石だらけの不毛な土壌を持った女ということだ。
旧来不妊は女性側に問題があるとされ、不妊が理由での離婚(家を追い出される)は正当なこととされた。今のデータによれば不妊の原因は男女で5分5分だ。
皇室でも男子を産むことが期待され、長年子供が出来ないと何か問題があるのかと疑われ、今の時代にしても皇室は継承者を長男の娘ではなく次男の息子に託した。

そして全く知らなかった、不妊治療というものの実態。
屈辱的な検査の数々と、増え続ける薬。その副作用。検査に伴う耐え難い痛み。
検査と服薬を繰り返しボロボロになる子宮。
それでも子供が欲しいと望み、治療を続ける女という生き物。
それは本能という言葉で片付けられるものなのか?
出産が自然の摂理だというならば、科学の力に頼り自分の体外で受精させられた卵を腹の中に戻してまで出産するということは自然の道理と言えるのだろうか?


「物語」としての評価はどうにも出来なかった。
どうやら小手鞠さんは色々と悩んだ末に、子供を産まない決断をしたということが後書きに書かれていた。
そのときの苦悩がとてもリアルに、そして熱情をもって物語に反映されている。


個人的に好きだったのは「玉手箱」。
子供が産めない体の女性が代理出産を頼んで子を持つ話。
科学って難しいよなあと思う。
生命の神秘というのは科学が進んでもまだ、きっとどこかに息をひそめて存在しているのだと信じたい。


本の感想ではなく、女の大変さについての話になってしまった。
男性が読んだら気を悪くすること間違いなし。


18:57 | か行(小手鞠るい) | comments(0) | trackbacks(0)
欲しいのは、あなただけ
評価:
小手鞠 るい
新潮社
コメント:「男らしいひと」と「優しいひと」。かもめは人生で2つの大きな恋をした。怖いほどの欲望をかもめという女に乗せて、泥の中を全速力で疾走する、そんな物語。

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今風の言葉で言えば「恋愛体質」の女、かもめ。
うーん、いや、そんな軽い言葉では表しきれないのだけれど。

「好き」という気持ちは、一見綺麗なもののように思えるけど、実はそうではないのだと思わせられる。
「好き」という気持ちに、プライドや優しさや常識や、そんな何かをたくさんくっつけて初めて「好き」は「きれいなもの」になれるんだなあ、と。

「男らしいひと」にプロポーズされたかもめはこう思う。


   あなたは本当に、何もわかっていない。
   責任とか、結婚とか、家庭とか。
   わたしが欲しいのはそんな、得体の知れないものではないのだ。
   わたしが欲しいのは、あなただ。
  
   あなたの一部でありたい。同時に、全部でありたい。
   あなたの触れるすべてのものに、わたしはなりたい。
   たとえばあなたの涙腺からあふれる涙に、わたしはなりたい。
   たとえばあなたの血管を、わたしは血液になって、流れたい。
   あなたに溶けて、重なっていたい。
   それがわたしにとって、愛するということ。



ちょっと通常では分かりかねる、むき出しになった愛という欲望。
と同時に、いくつかの恋を経験した人なら共感せざるを得ない、正直な欲望。
かもめは異常だと頭では分かっているのに、恋に溺れて泣いている彼女を見ると
抱きしめて頭をなでてあげたくなってしまう。責めきれないのは、どこか自分への後ろめたさを感じるから。


やはり恋愛小説を書かせたらピカイチなんじゃないかと思う。
詩的な表現にやられます。
20:51 | か行(小手鞠るい) | comments(0) | trackbacks(0)
エンキョリレンアイ
評価:
小手鞠 るい
新潮社
コメント:本屋で出会った花音と海晴。「また会える」と信じ、アメリカと日本という距離を越えて愛を育んでいたのだが、ある日突然彼からのメールが途絶え・・・。愛するということの美しさだけを抽出した、とても綺麗に澄んだ物語。

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JUGEMテーマ:読書
 
「絵本をさがしています」
その一言で出会い、恋に落ちた花音と海晴。
最初の出会いはほんの数分で、その翌日に電話をし、
さらにその次の日にはアメリカに発つ海晴を送る空港で1万回のキスを。

なんていうスピード恋!
キューピッドも真っ青な展開。

現実的に考えれば、詐欺か遊び人かはたまた罰ゲームか。
万が一本気だったとして、出会って2日後に遠距離恋愛が始まったら
まあ数ヵ月後には気持ちも冷めてメールも尻つぼみに自然消滅が落ち・・・

なんだけどまあそんな普通の展開を小説にしたって仕方が無いわけで。

本当に真剣に恋に落ちた2人だということを受け止めれば、花音の気持ちを表す言葉の一文字一文字が胸に痛い。
人生の伴侶を探し当てた親友の「愛は狂おしいものではない」という言葉に考える。


   悲しいことがあった日も、嬉しいことがあった日も、わたしは淋しくて、たまらなくなる。
   追い求め、会いたいと焦がれ、そばにいて欲しいと願っている、こんなわたしの愛は―。
   愛とは呼べない?
   「アイシテル」とつぶやくたびに、心がわっと泣き出してしまいそうになる、こんな愛は。


そばにいればいいというものではない。そこに心がなければ。
だけど、そばにいなくてもいいなんてものではない。だってアイシテルから。

愛しているっていう気持ちを、叫びを、何度もろ過してほんの少しの濁りものぞいて
綺麗なグラスに注いで差し出されたような、そんな物語。




20:00 | か行(小手鞠るい) | comments(0) | trackbacks(0)
レンアイケッコン
評価:
小手鞠 るい
新潮社
コメント:シリーズ3部作最終巻。「恋は、一生にたったひとつだけ、するのがいい」そんな恋愛観をもった雪香の初めての恋は、失恋で終わった・・・。諦められない、忘れられない。そんなとき、彼と同じ名前を持つホームページを見つける。あの人ではない、と分かっていながら雪香はメッセージを送る。結ばれるはずの人とは、何度すれ違っても結ばれることになるのかもしれない。そんなことを素直に信じさせてくれる温かな物語。

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誰かに「どんな話?」と聞かれたら、その答えはとても陳腐なものになり
とても魅力を伝えることなどできそうにない。
小手鞠るいはそんな作品を作る人。

この物語も、ストーリーだけを列記したらそれこそ「ちんぷ」って感じだ。
陳腐っていう日本語は ちんぷ って言葉の響きもすごくちんぷさを表してて
なんだかすごいと思う。

「恋愛は一生に一度だけ」をポリシーにかかげた主人公、雪香の初恋は実らずに終わる。
じゃあどうすんだい?一生独身を貫くんかい?っていうと
きっちりちゃっかり次の恋に進んでいくわけなのだ。それもまた劇的な出会いと偶然で。

もちろん私は呟いた。ありえねー。

ありえねーって展開の物語が嫌いだ。
結局物語りの中でのご都合主義でしょ?
そんな現実に「ありえなさすぎそう」な話には興味がないんだよ、と。

でも小手鞠るいが書く話だと、不思議とそうは思わない。
ありえねー。けどまあなんか良かった。
と、そうなってしまう。
うまく言えないが、ホレタ弱みってやつなんだろうか。

あっという間に読了。
順番が前後したが、サンカクカンケイも早く読まねば。


19:35 | か行(小手鞠るい) | comments(0) | trackbacks(0)
早春恋小路上ル
評価:
小手鞠 るい
幻冬舎
コメント:大学にはいり、京都で1人暮らしを始める。バイト、恋、人間関係、そして失恋、就職、結婚、転職、そして離婚・・・。作者小手鞠るいの、自伝的小説。

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小手鞠るい。
最近、だんとつに好きな女性作家のひとり。

自伝的小説は、作者が好きって気持ちに左右されやすいとこもあるので
小手鞠さんって誰?って人はまず他の作品を手にとったほうがいいんじゃないかと思う。

彼女が好きな私は、ああやっぱり良いなあ小手鞠。と思った。
自伝的、なのに、いやだからこそ?淡々としていて、客観的。
感傷にひたるわけでもなく、若さを言い訳にするわけでもなく
そのときの自分を、作品の中の小手鞠るいという人物に染み込ませているような。

好きだなあ

11:33 | か行(小手鞠るい) | comments(0) | trackbacks(0)
私を見つけて
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こでまりさんの短編集。

この本の舞台はアメリカです。
5編のどれもが、主人公は日本人で、アメリカ人男性と結婚し、日本を離れて暮らしています。

「アメリカ人」とひとくちに言っても、人種のサラダボールと言われるアメリカで生粋のアメリカ人というのはある意味存在しない。
実際この5編にでてくる男性も、アフリカ系・インド系・北欧系・・・と様々。
つまりは、このどれもが「アメリカ人男性と付き合う日本女性の苦悩」として書かれているのですが、それが逆に、この本のテーマが人種にないことを物語っています。

アメリカ人だろうが、インド人だろうが、日本人だろうが、人は人。ひとくちに〜人と言ったって、個性がある。だから悩みだって出てくる。価値観の違いでぶつかる。

5つの物語では、相手のことを理解することで上手くいった愛もあれば、価値観の違いが許せずに破滅に終わった愛もあれば、愛しているのに離ればなれになってしまった愛もあります。
誰もが、「私を見つけてほしい」を思っている。
愛しい人に、見つけてほしいと思う。
それが愛ということなのだと、この本を読んで改めて実感しました。
14:21 | か行(小手鞠るい) | comments(0) | trackbacks(0)
空と海のであう場所
JUGEMテーマ:読書


イラストレーターをしている木の葉のもとに、ある日電話がかかってくる。
それは、昔の恋人であるアラシが、自分の物語に木の葉に挿絵をつけて欲しいと言っている、という編集者からの電話だった。
木の葉の胸に、五年前に別れたアラシとの思い出が甦る。

そうして、アラシが書いた物語が、一章ごとにファックスで届けられる。
遊牧民と、泥棒猫の話。
その物語は、遠い日に木の葉とアラシが過ごした日々に重なっていく。
最終章を残して、アラシは消えてしまう。

長い長い時を経て紡がれる、愛の物語です。


小手鞠さん、初めて目にする名前でした。
もちろん本屋さんにだって「小手鞠るい」なんてコーナーはなく、
たまたま、それも本棚の隅っこのほうに、
それでも平積みで並べられていました。

恋愛小説はあまり読まないのだけれど、
なんとなく吉本ばなな的雰囲気を感じたのと、
小手鞠、という名前の素敵さと、題名と表紙の透明感に魅かれて
買ってきました。

こういう出会いってほんとうに胸が騒ぐ。
だから私は本が好き。
本屋が好き。

アラシの書く泥棒猫と遊牧民の物語、
何もなくても、ただ読んでるだけで泣きそうになる。
ほんとうに絵本にしてほしいくらいだ。

恐らくこの本を読んだ人の中で論議されるのは、
「泥棒猫は遊牧民から何を盗んでいったのか」
だと思う。

私はその答えを見つけました。

例え筆者の意図と違っていたとしても、
これは私の中では絶対に正解。
この答えを見つけたとき、この物語が何倍も美しくみえた。

ちなみに私の答えは、シンプルな単語で、
たしかそのまま本文にも何度か記載されていたと思う。
もう喉まででかかっているのだけれども、
こういうところでそれを言うのは、
殺されても文句を言えないくらいのタブー。

誰かと「いっせーの」で答えあわせをして、
それがぴったり合ったりなんかしたら
すごい幸せかもしれない。
11:28 | か行(小手鞠るい) | comments(0) | trackbacks(0)

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