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評価:
木下 半太
幻冬舎
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小川順が目を覚ますと、そこはエレベーターの中だった。
中には中年男とオタクと魔女。
浮気相手のアパートからの帰り道のうえに妻は出産間近。
助けを呼ぼうにも携帯もなく、中の3人には犯罪歴があることさえ判明!
大ピンチの小川。
そしてエレベーターの中で、ひとつの事件が起こる。
軽快にどんどん進む、ギャグとしか思えないストーリー展開に登場人物のやりとり。
行動のほとんどが行き当たりばったりのはちゃめちゃ。
なにしてんねん、とクスクス笑いながらページを進めていくと、
最後の最後に読者を迎えるのは、シリアスでホラーな結末。
今までにない、ものすごく微妙な立ち位置から描かれた作品だと思います。
最後3ページ前までの徹底したコメディぶりがあったからこそ、
この結末が際立って怖く感じられるのでしょう。
ただ、一人一人のキャラがもう少し色濃く描いてあればなあ、という
ちょっともったいない感もありました。