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評価:
山田 詠美
文藝春秋
(2004-05)
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おぉぉぉお。
ヒット。
あんまり恋愛小説って好きじゃないんだけど。
なんとなく山田詠美敬遠してたとこあったんだけど。
昔一度読んだ本が嫌いだったから。
今この本を読んで、どうしてこんなに気に入ったのか不思議なくらい。
こりゃいいっすよ。オススメ。
【MENU】
幼い頃に母親が自殺して、叔父の家に引き取られた時紀。
他人に必要とされることを嫌い、「自分が一番好き」という時紀と義妹の聖子。
なんだか、グサリ。とくる作品。
他人、という全てのものを否定しているか
のように見えるトキだけど、
ただ愛するということの恐ろしさに
怯えているだけ、という感じがする。
自分を差し置いて一人の人間を愛せるのは、そのために、
他のすべての人々を破棄できる奴だけだ。
ほんとうに、そうだ。
皆が幸せになんて、無理。
何かを選ぶしかない、
たくさんのMENUの中から。
【フィエスタ】
あの、これ、ものすご笑いました。
駅の構内のパン屋さんで読んでたので
あたしのニヤニヤ顔はさぞかし
不気味に見られていたことでしょう・・;
主人公は、ズバリ「欲望」
そのご主人様はいわゆるブサイクというやつで、
同じ社内の男性に恋をし、
それが純情な恋だと勘違いしその実、
欲望をムラムラさせているわけですが。
そんなご主人が、
「私、ひたむきにあなたを思ってるわ」
なーんて考えちゃってるわけだから
いつまでも欲望は解消されず、
この「欲望」さんはご不満な様子。
つくづく、隣の課の馬鹿女の欲望が羨ましい。いつも、すっきりと発散していて、私のように膿を溜めることもないのであろう。・・・ただ、時にはこのもやもやを解消したいのだ。・・・ああ、このもやもや。何?それこそが私のアイデンティティを形成しているだと?誰だ、そのような戯言をほざくのは。ち、理性、お前か。
ところが、↑の馬鹿女と愛する男性が婚約発表。
とうとう、ご主人様、欲望爆発!
殺したい、ああ殺したい、殺したい。けれど、主人は殺すかわりに犯すことを選んだ。
あせったのは、私だ。おいおい、喪服着たままで良いのかよ。仕方ない。喪服着た性欲も、また魅力的だ。いいぞ!やれ、やっちまえ。・・・とうとうここまで来たか。今まで我慢してきたこと全部してやる。とりあえずは高笑いだ。わーっはっはっは。理性よ、ぐっすりと眠りたまえ。
そして、解放された欲望が迎えるラストは・・・。
【姫君】
うー。これまたイイデス。
姫子のキャラがまたかわいい。
支配される側と、支配する側と、
愛と、生と、死と。
男と女の愛の関係が、ああ、わかる。という感じ。
この作品は、言葉じゃ伝わらない。読まなきゃ伝わらない。
ね、さぁ読もう 笑
HITOMIの表紙絵もいい。