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評価:
青山 圭秀
幻冬舎
(2003-04)
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うーん、普段宗教に接する機会の少ない一般日本人代表の朱としては
こてこての宗教本、と言っても差し支えないのかなぁ。
「聖母出現」の噂に、主人公相浦は取材を始めるが、理屈では納得できない現象を目の当たりにして、徐々に聖母の存在にひきつけられていく。
なかなかね、面白いんですよ。
聖書を引用しながら、カトリックについて分かりやすく説明してくれるし。
これ以上人間が愚考を繰り返すようだと、ひどいことが起こりますよーってマリア様が告げるわけだけど
実際人間の愚考は止まらない。
金正日やサダム・フセインなど、実名がバンバンでてくるあたり、それが現実世界で起こりうる可能性の高さを感じさせられる。
カトリックを中心として書かれている本だけれども、
伝えたいことというのは宗教というものを越えた普遍的な真理であり、
どんな宗教を信仰しようとも、宗教を信仰していなくとも、
人間が知るべき、そして知ることのできる大切な真理があるのだということ。
・・・まぁ小説として、っていうとイマイチと言わざるをえないかも。
乙葉と相浦の話を交互にさせて、その関係性で少し面白みを出してはいるのだけど
乙葉の部分の話は少し雑すぎるかな、という気もするし。