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評価:
ジェームズ・クラベル
集英社
(1988-07-20)
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23分の奇跡っていうから、23分間の間に嵐がやってきて去っていくドキドキハラハラストーリー、なんてものを想像して買ったのですが、開けてみてあらまあ。もっともっと深いところをついていた本でした。
小学校に新しい女の先生がやってきます。しかし、その先生は敵国の人間でした。生徒たちは最初、新しい先生に警戒心や憎しみを抱いていたけれども、今までの先生とは全く違うその教えに、23分後には生徒たちの考えは180度変わってしまうのです。
子供の洗脳のされやすさを描いた作品。かの有名な「最後の授業」の続編、いわば「最初の授業」とも呼べる作品。23分でどう変わるのかなんて実際のところわからないけど、子供ってほんとうにものごとを受け入れるのが早い。今回の話で、この先生が言っていることは悪いことではなくて、ただそれが今までの本国(子供たちの親たち)の考えとは全く異なる、ということだけ。違う国の人間が違う考え方を子供たちに示すということ。それは白人が黒人の地を開拓し自分たちの文化を取り入れさせるのが良いことだと思っていたように、ほんとうにその考えのほうが良かれと思って(もしくはその国を自分の国に抵抗なく吸収するために)行われる。子供の頃に教わることは、その人の人生の基盤となるもの。その重みを大人たちは良く考えなければいけないのですよね。と、子供でも大人でもないような今のあたしは無責任に言っていられる 笑 そういえばあたしは何を教わってここまできたんでしょう。ぜーったい失敗作だなぁ、と思うのですよ。