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暗鬼
評価:
乃南 アサ
文藝春秋
コメント:お見合い結婚をした相手の家族は、全員が文句のつけようがないほどに「良い人」たちであった。しかし、暮らしていくうちに、その奥に潜む「何か」を感じ取り、主人公は深い深い疑心暗鬼の泥沼にはまっていく。

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疑心暗鬼、という言葉は普段何気なく使っているけど
こうして「暗鬼」という題名にされると、何かものすごく力を持った言葉のように感じられてくる。

暗い鬼ですよ。
疑うということは、暗い鬼に心を支配されるってことなんですよ。
日本語、こえぇ。


そんでもって、こういう怖さを淡々と語れるのが乃南さんであるわけで。
乃南さんの作る話は、本当に先が読みにくい。


疑心暗鬼がテーマということで、最初は普通に良い人にみえた家族が実は裏があって、
それを少しずつ主人公が化けの皮をはがしていく話か・・・
と思いきや、途中の主人公の狂いようを見て
あれ?実は何でもなかったのに疑心暗鬼にかかって良い人までもを悪者にしたてあげてしまう
心の闇を書いた作品なのか?
・・・と思わせておいて実は実はー!

ふー。
というような読者混乱作戦が乃南さんはお上手なのです。
と私は思うのです。


ところで今私の手元にあるのは、角川文庫でした。
文春からも出してるのね?
同じ文庫本を違う出版社から二つ出していいの?

本屋で働いているのに分からない私でした;
23:05 | な行(乃南アサ) | comments(1) | trackbacks(0)
ヴァンサンカンまでに
あ、なんかノナミさん久々だ。
独特の物語を綴る人。
感性が、たぶん世の中の「まっとう」とは少し違うのかな、なんて。

フランス語やってるくせに ヴァンサンカンとvinght cinq ans (25歳)が結びつかなかった・・・ 致命傷かも。だってカタカナで書くとどこか地中海の街の名前みたい。

きっと男の人はこれを面白い、と言う人は多くないんじゃないのかなあと思う。
あたしだって別に主人公の翠みたいに、打算的な恋や不倫をしてるわけじゃないけど、なんかちょっと突っ張ってるところ、少し共感。

翠のそういう「愛」への距離感の原因となった、過去の話にもう少し詳しく触れてみてもよかったんじゃないかなぁと思う。最後まで彼女が「愛とは何か」を知ることができなかったという結末は、ありきたりではないって点で良かったかなあ。
早く翠に「家」ができればいいな、と思った。
22:20 | な行(乃南アサ) | comments(0) | trackbacks(0)
6月19日の花嫁
記憶喪失って、小説のよくあるネタのひとつなわけですが
なんとこの主人公は、3回も記憶喪失になります。

そんな設定あり?!
てのでびっくりしましたが、3つに分かれた過去を徐々に取り戻していく
ストーリーは、他の記憶喪失ものの小説とは一味違います。

その人をその人として成り立たせているものは何か?
という話で、記憶、というものをそのひとつとして挙げました。

主人公の婚約者は、2度目に主人公が記憶を失くしたあとに
出会ったわけですが、3度目に記憶を失くした主人公を前に
悩むわけです。

  どっちだ−
  どっちの千尋が本物なのだろうか−!
  何もかもが暴かれた上で、俺に千尋の過去の全てを呑み込むことができるか?
  何もなかったころの不安に打ち勝つことができるか?
  これから、千尋はまだまだ違う女になっていくのかもしれないではないか。
  俺に見せていた一年間こそ、本当の千尋とは似ても似つかない存在だったのかもしれない。
  それが、今は分からない。
  俺はいま、おそらく彼女以上に明日がくることを恐れている。


記憶、がなくなったとき自分はどんな自分になるのだろうか。
記憶を失う前に好きだったものを好み、嫌いだったものを嫌うだろうか?
記憶を失う前に自分のことを好きでいてくれた人は、後の自分も好きになってくれるだろうか?
知ってみたいけど、記憶を失ったら記憶を失う前の自分を知らないわけだから
知ることは出来ない。
ていうか記憶喪失って実際どれくらいの人が経験するんだろうね。
現実には聞いたこともないな。

22:15 | な行(乃南アサ) | comments(0) | trackbacks(0)
5年目の魔女 (新潮文庫)
会社の同僚貴世美は、上司の新田と不倫するようになって派手な女に変わっていく。
貴世美と仲が良かった景子も、貴世美の中に不気味な魔性さを感じ次第に離れていくのだが、そんな景子を逆恨みした貴世美の陰口に耐え切れず、会社を辞めることに。
その5年後、新しい人生を歩んでいた景子は元同僚に偶然出会い、貴世美と新田のその後の話と、新田が交通事故で死んだことを知らされる。貴世美と自分との奇妙な繋がりを感じながら、景子は貴世美を探すことにするのだが。

女は怖いね!
というお話でしょうか。
そういう意味でホラー。

23:46 | な行(乃南アサ) | comments(0) | trackbacks(0)

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