<< May 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - | -
1Q84
評価:
村上 春樹
新潮社
コメント:月が2つある世界、それを青豆は「1Q84」と名づけた。1Q84の世界で立て続けに起こる不可思議な出来事。その中で青豆は自分の存在の意味を見つけていく。ハードボイルド、そして揺ぎ無い、愛の物語。

JUGEMテーマ:小説全般
JUGEMテーマ:読書
 
レビューはBOOK1前編に書いているが、全読後の感想になります。


面白すぎで6巻一気に読んでしまった。
若干後悔しているが、また今度ゆっくりと読み返したいと思う。

単行本が出版されたとき、1Q84を読んだ何人かの知り合いに感想を聞くと、
多くの答えは 「なんとういか、なんとも言えないけど村上春樹って感じ」 というものだった。
しかし実際に読んでみて、私は1Q84は今までの村上春樹作品とはだいぶカラーの違うものだという感じを受けた。
灰汁が丁寧にすくわれているというか。
出てくるキャラクターもそうだし、語り口調も新しい。文章は今までの何倍にも増して洗練されているし、選び出す単語のひとつひとつやその並べ方が凄すぎて読んでる最中に呻ってしまうほど。
これほどまでの人でもまだまだ成熟というものをしていくのだなあと驚かされる。
センスや才能というふつうだったらプラスの要素になる言葉が、1Q84でつむがれる言葉を前にするとひどく滑稽でまぬけで的外れな言葉に思える。
センスだけでこんな文章を作り出せるわけがないだろうがあほめ。という具合。

物語についての感想を語ることはなかなか出来ない。
語彙力も表現力も足りなさすぎる。
そして多くの謎は残されたままのように感じる。
なぜリトル・ピープルのことが文字になり世間に知らされてはならなかったのか。
そうなったことにより世界はどう変わったのか。
教団は声を聞くことで何をしていたのか?
青豆と天吾が降り立った新しい世界には、さきがけやタマルや、1Q84の世界の人々は存在するのか?したとして、1Q84の世界での出来事と青豆たちとの関係はどうなっているのか・・
読み終えても気になることはたくさんある。
もし続きがあったとしても、疲労を感じることなく読み続けられただろう。

しかし完結を迎えた、というところに、放置された謎は謎のままでいいものであり、答えはすでに提示されきったということなのだと思っている。
つまり、「説明が必要なことは、説明されても分からない」ということなのではないか。

個人的には愛の物語だと思っている。
天吾の父が天吾に言ったように、私という存在は「何ものでもない」。
「親の子供」という存在でもない。
私は私であって、それを決定するのは自分自身でしかありえない。
そうでさえあれば、自分が自分でいる限り、どの世界で生きていようとも、それが月や太陽がふたつある世界であろうとも、たいしたことではないということなのだろう。
だってもしかしたら、本当の世界には月はふたつ存在しているのかもしれないのだし。




21:40 | ま行(村上春樹) | comments(0) | trackbacks(0)
アフターダーク
文庫化しているのを発見して即買い。
だんとつの売れ筋1位。さすがです。

マリが深夜にファミレスにいると、姉エリの知り合いだという男・高橋に声をかけられる。
この物語が始まってから終わるまで、時間にして数時間。
アフターダークの物語は読者の頭の中に描かれることとなる。
いわばこの作品は序曲にすぎないのだろう。

と、考えればいつもの村上春樹らしくないこの物語の展開も納得がいくような気がする。
まず驚きなのは世代が若いこと。
春樹といえば30代男性が主人公、今となってはやや古くなってしまった時代を愛し
語る・・・というイメージだったのだけれど。
エリやマリは大学生、高橋はバンドマン、あと出てくる登場人物といえばラブホで働く人たちと、ヤクザ(?)と、中国人売春婦・・・

この物語の主人公は、おそらく「私たち」。
春樹のことだからきっとこの「私たち」に関しても何らかのハプニングを用意しているんだろうと思いきや。
もしかしたら、私たちはその言葉の通り私たちのことを指しているのかもしれない。
不思議な小説。

何も起きていないといえば何も起きていない。
だけど確実にこの数時間で変化が起きた。
人生の中にそんな夜があるかもしれない。
誰もがそんな変化を体験しながら人生を生きているのかもしれない。
人に変化をもたらすのは、今までの春樹の物語のような
何か大きな出来事の中に放り込まれる時だけではなく、
誰かと普通に話しながら、心に響く言葉を聴く時なのかもしれない。

村上春樹の世界は誰にも解説できない。
彼の作品を、誰にも規定することはできない。
問題なのは彼がどのような意図で、何を伝えたくてその物語を書いたのかではなく
私たち一人ひとりがその作品から何を感じ取るかなのだ。
一体どうしたらそんな作品を書き続けられるのだろう。

アフターダークは、面白い!と手放しで褒められる作品では決してないと思う。
失敗作なのか?と疑ってしまうようなこともあると思う。
でもこれをものすごい傑作だ!と思うことも間違いではないと思う。
なんかそんなね、
不思議な作品だ。
幕開けの前の物語。
21:30 | ま行(村上春樹) | comments(0) | trackbacks(2)

にほんブログ村 本ブログへ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ