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雪屋のロッスさん
評価:
いしい しんじ
新潮社
コメント:不思議で、あたたかく、せつなく、そしてどこか暗く深く怖い。心に沁みる31の物語。

JUGEMテーマ:小説全般
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びしっびしですねー。
研ぎ澄まされてますねー。
やさしさやあたたかさの中に、怖さや毒を入れることによって
ますます温かみを増して感じられるようです。

いしいしんじという作者は、この世に存在するどんなものも主人公にして物語をつむげる人だ。
それがうなぎ女であれ、道路であれ、ゴミバケツであれ、ダッチワイフであれ。
そして現実には存在しない町で、存在しない仕事をする人の物語を描くときにも、絶対的なリアリティと存在感を感じさせる。
彼はきっと、この世の全てのものに等しい価値があると信じているのだと思う。
それにすごく安心して、嬉しくて、ちょっと泣きそうになる。

31ある物語のうち、どれが好きかなーと思ってぱらぱらと読み返していたら、
とうてい1つに選びきれるものなんかではなかった。

永久保存版入りです。

18:42 | あ行(いしいしんじ) | comments(0) | trackbacks(0)
みずうみ
評価:
いしい しんじ
河出書房新社
コメント:コポリ、コポリ、とあちこちから声がする。みずうみの?誰かの?沈むでも浮かぶでもなく、たぷたぷと水の中や外を漂っているような気持ちになる。

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私はいしいしんじさんが好きだ。
だから言いたくないし思いたくもないのだけど、正直に言うと「分からない物語」だった。
作者に完全においてけぼりをくらった。と思った。
よく分からないけどひどく面白いという本も存在する。
例えば「箱男」のような、あやうい魅力をもち、分からなさを分かりたくなり、何度も読み返したくなる本。
そういうのとは違う。
ただ、「よくわかんないな」。という感想。感動ではなかったことが、いしいしんじ好きの私としては悲しい。

解説者はものすごいハッキリものを言う人だなと思った。
彼の想像では、「第2章にはいる前に作者の身に妻の流産という事件が起こったのではないか」と推測している。(そう直接的には言ってないけど)
その実がどうこうというわけではなく、解説者にそういわしめる何かがやはりあるというわけで。

確かに第1章はいつものいしいしんじ調の物語で、原点への回帰、伝統や原始や自然を重んじる美しさが前面に出ていた。
それが1章の終わりでみずうみが枯渇し、主人公たちは水を失ってどう生きていくんだろう・・・
というどきどきの中2章をめくると、彼らは忽然と姿を消していて戸惑う。
変わりに現れたのは、さえないタクシーの運転手。
口から石を、体から透明な水を吐き出す。
そして3章では海外と日本とにいる2組のカップルを描く。
彼らは、彼らと、そして昔の誰かと、みずうみの村にいた誰かと、偶然だか必然だか分からないような細さで繋がる。

1章以外の話は、全て「なんとなくリンクしてるっぽい」といういやに曖昧な印象でしかない。
あまりのつかみどころのなさに、読んでいながらもやもやとした不安感を覚えてしまう。
後味の悪い作品だった。


23:46 | あ行(いしいしんじ) | comments(0) | trackbacks(0)
ポーの話

評価:
いしい しんじ
新潮社
コメント:ある日、うなぎ女が取り上げた、川から流れてきた赤ん坊。それがポー。ポーはうなぎ女の息子として川と共に育ち、やがて陸へ上り新しい世界の中で旅をすることとなる。そこでポーが知ってゆくこと、理解していくことが、私たちをもまた新しい世界へと導いていく。
JUGEMテーマ:小説全般
 

あーーーー
いしいしんじさん、やっぱ最高。
なんという綺麗な文章を書くんだろうこの人は。
心の中どうなってるんだろう。
体を全部ひっくり返して見てみたい。

うなぎ女の息子という、一風変わった主人公が
旅に出て、色々なことを知っていく物語。

陸に出たポーが出会うのは、
女たらしの盗人メリーゴーランド、
その妹のひまし油、
狩人の犬ジイと、足の悪い孫。
鳩マニア?の巨体の婦人。

見た事もないことだらけの人間の世界の中で、
ポーはひとつひとつのことを自分の中で整理し、
あるべき場所へとおさめていく。

その収め方が、すでに生まれた時からこの世界で生きてきた
私とは全く違う収め方だった。
ずいぶんと当たり前に分かっていたようなことが、
いしいしんじさんとポーの目を通すと、
ずいぶんと違うものだということを思い知らされる。

それはとても綺麗で、自分が思っていたものよりもずっとずっと
奥深いものだ。

物語自体にはそこまで泣かせるストーリーをいれているわけではないのに、
ただ、その文章を読んでいるだけで涙が出てきそうになった。
物語に泣くのではなく、なんていうか、うーん
言葉に。

はー、敬服いたしました。
19:41 | あ行(いしいしんじ) | comments(0) | trackbacks(0)
絵描きの植田さん
JUGEMテーマ:読書


いしいしんじさんの本は、
ゆったりと一文字一文字かみしめながら読みたくなります。
これまたそういう種類の本だなあ、と思ったので、最初から最後まで、声を出して読んでみました。
はたから見たらいかれちゃってる人だけど
朗読なんて小学校?中学校?の国語の授業以来くらいかなあ、と思うと、なんだか新鮮でした。
小説という種類の本を、趣味で読む時にはそれをするのは作者に対して失礼とは分かっていながらも、無意識のうちにしてしまう「飛ばし読み」というものを一切しないで本を読んだのも、稀少な体験だったのではないかと思います。
薄くて文字が大きい本なのに、何日もかけて読みました。
そんな機会を与えてくれたこの一冊に感謝。
11:48 | あ行(いしいしんじ) | comments(0) | trackbacks(0)
麦ふみクーツェ
評価:
いしい しんじ
理論社
(2002-06)

いしいしんじさんは「ぶらんこのり」で初めて読みました。
読んでいて心がほんわかする物語を書く人です。
ひらがなってあったかい。いいな、ひらがないいな、
いしいさんの本を読むと改めてそう思います。
カバーもかわいい。

主人公は心臓に病気をもってとても背が高くなった、「ねこ」
ねこのお父さんは数学者、おじいちゃんは音楽家。
ねこは屋根裏部屋でクーツェに出会います。
とん、たたん、とん、とクーツェは麦ふみを続けます。

麦ふみにいいもわるいもないんだよ、というクーツェの言葉が心にしみます。
麦をふむのは麦を強くするため、踏んでだめになってしまう麦も
畑の肥やしとなります。
やんわりとしたひらがなで綴られる物語だけど、
踏まれても踏まれても真っ直ぐに伸びていく麦のように
芯がとても強い。

ラストはもう少し違う風でも良かったな、と思うけど
クーツェに隠された意味、良かった。

誰もが「ひとり」であって、言わば誰もがたぶん「へんてこ」で、
そういう自分が自分であって良いと信じるために、何か「わざ」を磨かなきゃならない。
あたしも何か、わざ、あるかなあ
22:23 | あ行(いしいしんじ) | comments(0) | trackbacks(0)
トリツカレ男
評価:
いしい しんじ
ビリケン出版
(2001-10)

やーーーいしいしんじ、いいわあ。
制覇しよ。

すぐに何かにとりつかれちゃうジュッペ。
オペラにとりつかれれば話す言葉が全てオ〜ペ〜ラアアア〜になっちゃって、そうかと思えば三段跳びにとりつかれてホップステップジャンプ。そんなジュッペが風船売りの女の子にとりつかれちゃったら・・?

この発想がもう素敵ですよね。ひとつひとつのエピソードが面白いし。それでもって以前にとりつかれたことが様々な場面で役にたって、ハツカネズミの飼育にとりつかれてたときに友達になったネズミくんもいい活躍してくれるし。

それでいて面白いだけじゃなくてちょっと切なく、人の心のあったかさなんかも描いてる、いい本です。
22:15 | あ行(いしいしんじ) | comments(0) | trackbacks(0)
ぶらんこ乗り
評価:
いしい しんじ
新潮社
(2004-07)

これは名作です。ほんとに、読んで損はないです。

 
 ぶらんこが上手で、指をならすのが得意な男の子。
 声を失い、でも動物と話ができる、つくり話の天才。
 もういない、わたしの弟。−天使みたいだった少年が、
 この世につかまろうと必死でのばしていた小さな手。
 残されたふるいノートには、痛いほどの真実が
 記されていた。ある雪の日、わたしの耳に、
 懐かしい音が響いて・・・・・・。

 
(新潮文庫より)
 


 物語は終わりまで、姉の語り口調で語られている。
 高校生ならもう少し、漢字を知っているんじゃないかと思うんだけど
 勉強が出来ないっていう設定だからいいのか 笑
 それほど、平仮名にこだわっているというか。
 ひらがなでなければこの物語は成り立たない、という感じもする。

 「天才」だった弟がノート書いた物語が、たくさん挿入されるんだけど
 そのひとつひとつの物語がほんとうに素敵です。
 最初の「たいふう」という話は、いしいしんじさんが小さい頃に
 ほんとうに書いた話だそうだけれど、それもまた、すごい。

 大きな悲しみや、感動や、そういったものはこみ上げてこない。
 ただ小さくて大きな幸せというものが、砂浜に佇んだ足元に
 静かに静かによせてはかえす、そういう物語。

12:55 | あ行(いしいしんじ) | comments(0) | trackbacks(0)
プラネタリウムのふたご (講談社文庫)
プラネタリウムで生まれた、ふたごの話。
ある事件からふたりは違う人生をあゆむことに。

文句なしのいしいしんじさんの世界。
またやられちまいました。
22:40 | あ行(いしいしんじ) | comments(0) | trackbacks(0)
東京夜話 (新潮文庫)
評価:
いしい しんじ
新潮社
(2006-11)

いしいしんじさんデビュー作。短編集。
『とーきょー いしい あるき』 改題。らしい。
ぶらんこ乗りがデビューかと思ってたのでびっくり。
こういう本が出るってことは
いしいしんじさんブームが来てる証拠?

その中身にもびっくり。
いしいしんじさんが最初こんな風に物語を書いてたなんて。
新発見。
大人の、普通の日本人が主役ってだけで意外だもんね。
でも読んでくうちに、ああやっぱり心に沁みるなあ、って感じる。
いしいしんじさんは目のつけどころが天才的。
普通の人が見逃してしまうことを
じーっと見て、
そこからものすごく素敵なストーリーを見つけ出す。

短編集の中で一番好きだったのが『クロマグロとシロザケ』。
お魚さんの恋物語。
これは軽く涙でちゃいました。
はあ。

マグロとか、ダッチワイフとか、ラジカセとか、
そういうものを主役につかっても読んでいくうちに
いつの間にか全く違和感がなくなってきて
最後には感動させられてしまう。
そんな物語を書ける人はそうはいないだろうな。
22:28 | あ行(いしいしんじ) | comments(0) | trackbacks(0)

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