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評価:
奥田 英朗
幻冬舎
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奥田さんって色々な物語を書く人ですね。
面白いのやら怖いのやらシリアスなのやら。
一貫して言えることは、この人は本当に文章力があるんだなってこと。
ララピポは6話で構成される、連続短編集みたいな感じ。
1話の主人公は学歴にしがみつく対人恐怖症のライターで、
2話では1話のライターがセックスを盗み聞きしていた上の階の住人で、お水のスカウトマン。
3話は彼がスカウトしたAV出演する中年のおばさん・・・・
という風に、視点を次々と変えながら、それでもページをめくるにつれて、一貫した「何か」をびしびしと読者に伝えてきます。
ザ・現代小説、という感じ。
30年後に読んだら世間の人はどういう風にこの物語を捉えるだろう。
30年前だったら、きっと非難ごうごうで打ち捨てられているか、ハテナマーク全開でそっとページを閉じるか。
「格差社会」「負け犬」
そういう言葉の中でもがく中で、どんどん泥沼にはまって、
最後には何かしらの形で破滅を迎えるのだけれど、
最後にほんのちょっぴり希望のようなものが見える。
しあわせってなにか。
考えたってしあわせになれるわけじゃない。
なんでもいいから、自分の道にしがみついていけばいい。
という逆説的ポジティブ本として受け取るのか、
現代社会の中で生きるってことはこんなにも厳しいことで、
現代人ってもうどうしようもねえなあ、という
作者の嘆きをつめこんだ本とみるのかは
じゆ
・・・つい頭に浮かんでしまった。
反省。