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評価:
横山 秀夫
講談社
(2006-07-12)
Amazonおすすめ度:
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豪腕ピッチャーとして高校時代に名を馳せた並木は大学にはいって肘を壊す。
復帰は無理だと誰もが感じる中、並木は「魔球を投げる」と宣言する。
戦争に行かないことが後ろめたく思えるこの時代。
並木はそれと知らずに特攻隊に志願してしまう。
人間魚雷「回天」。
死ぬために特訓を重ねる日々。
確実に死を約束された仲間たち。
死ぬことが美徳だとされた時代。
生きていることが後ろめたく思えてくる男たち。
なんのために生きるのか。
分からなくても並木はボールを投げる。
魔球を完成させるために。
著者だって戦争など体験したことがないはずだ。
それでもこれだけのリアリティを描くのは
入念な情報収集の結果だと思う。
丁寧な作者だな、という印象。
人の心についてもう少し深く触れてあったらもっと良かった、かな。
だけど創造の余地が多く残されたと思えば
それも良しか。
特攻隊じゃなくたって
誰もが約束された死にむかって生きているのだ。
だけどそれをカウントダウンされたら
自分はその時間に何を思い
何をするのだろう。
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追記:
『イキガミ』という漫画を読んだ。
増える犯罪、いじめ、自殺者・・・
「命」というものを大切にしなくなった時代。
政府は解決策として人の体に時限爆弾をしかけた。
千人に一人の割合で、誰かが死ぬ。
爆発期間、18〜24歳
死亡予定時刻の24時間前、
配達人がやってくる。
「逝紙」を渡しに。
死までの24時間、何をする?誰と過ごす?
一人で死ぬ?誰かに看取られて死ぬ?どこで死ぬ?
24時間後に死ぬことを、誰かに伝える?誰に伝える?
■□■死亡前24時間スケジュール表■□■
before
24h : 逝紙を手にする
茫然自失、泣き喚いたり暴れたりする
22h : 刻一刻と時間は過ぎていくことに気がつく
大切なひとたちへ手紙を書くことにする
16h : 部屋を片付ける、身辺整理
13h : 声を聞きたい人に電話をかける、普通に話す
10h : お風呂にはいる、出かける準備
9h : 一番会いたい人に会いに行く、何時でも何処にでも行く、手紙をポストに出す
その人が恋人だったら、最期まで一緒にいてもらう。
死ぬ瞬間は手を握っててもらう。
片思いだったら、家族の元に帰る。
ママはきっと大泣きするから嫌だけど、死ぬことはちゃんと言う。
0h : 死ぬときはたぶん布団の中