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クライマーズ・ハイ (文春文庫)
これすごい!
ひさびさにゾクゾクしましたー:*:・( ̄∀ ̄)・:*:

日航飛行機墜落事件の時の記者の話なんですけど、
横山さん自身があの事件の時に実際に新聞記者をしていたそうで、
納得のリアル感と、もちろんそれだけじゃなく、ちゃんと「小説」としての
疾走感や、サイドストーリーでも読ませる筆力があります。

今就職活動中だから余計にそういうところに目がいってしまうのだけれども、
この本に描かれる新聞社の内情には勉強になる部分がたくさんある。
過去の事件に囚われる上層部。
大事件を扱うことを自分のキャリアとしてしがみつく記者。
他社を出し抜くために特ダネをつかもうとするも、誤報をして被害者を傷つけるのではないかという恐れ。
命の重さ。
大事件で死んだ人と、ただの交通事故で死んだ人の
紙面での扱いの差別。
「現場」を見たというプライド。
大事故を前に記念写真を撮る記者。
販売部や管理部の誇り。編集部との軋轢。

ひとつの会社の中で働くってことは、
自分の思い通りにできないこともあるし
しちゃいけないってこともある。
でもなあ、それってどうなのよ。
それでいいのかよ。
みたいなことを
ひしひしと語ってくる作品。

なんかしらんけど泣けます。オススメ。
22:14 | や行(横山秀夫) | comments(0) | trackbacks(0)
出口のない海 (講談社文庫)
評価:
横山 秀夫
講談社
(2006-07-12)
Amazonおすすめ度:
豪腕ピッチャーとして高校時代に名を馳せた並木は大学にはいって肘を壊す。
復帰は無理だと誰もが感じる中、並木は「魔球を投げる」と宣言する。

戦争に行かないことが後ろめたく思えるこの時代。
並木はそれと知らずに特攻隊に志願してしまう。

人間魚雷「回天」。

死ぬために特訓を重ねる日々。
確実に死を約束された仲間たち。
死ぬことが美徳だとされた時代。
生きていることが後ろめたく思えてくる男たち。
なんのために生きるのか。
分からなくても並木はボールを投げる。
魔球を完成させるために。


著者だって戦争など体験したことがないはずだ。
それでもこれだけのリアリティを描くのは
入念な情報収集の結果だと思う。
丁寧な作者だな、という印象。
人の心についてもう少し深く触れてあったらもっと良かった、かな。
だけど創造の余地が多く残されたと思えば
それも良しか。

特攻隊じゃなくたって
誰もが約束された死にむかって生きているのだ。
だけどそれをカウントダウンされたら
自分はその時間に何を思い
何をするのだろう。

 
*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:

追記:

『イキガミ』という漫画を読んだ。
増える犯罪、いじめ、自殺者・・・
「命」というものを大切にしなくなった時代。
政府は解決策として人の体に時限爆弾をしかけた。
千人に一人の割合で、誰かが死ぬ。
爆発期間、18〜24歳
死亡予定時刻の24時間前、
配達人がやってくる。
「逝紙」を渡しに。

死までの24時間、何をする?誰と過ごす?
一人で死ぬ?誰かに看取られて死ぬ?どこで死ぬ?
24時間後に死ぬことを、誰かに伝える?誰に伝える?


■□■死亡前24時間スケジュール表■□■

before
24h : 逝紙を手にする
     茫然自失、泣き喚いたり暴れたりする

22h : 刻一刻と時間は過ぎていくことに気がつく
     大切なひとたちへ手紙を書くことにする

16h : 部屋を片付ける、身辺整理

13h : 声を聞きたい人に電話をかける、普通に話す

10h : お風呂にはいる、出かける準備

 9h : 一番会いたい人に会いに行く、何時でも何処にでも行く、手紙をポストに出す
  その人が恋人だったら、最期まで一緒にいてもらう。
  死ぬ瞬間は手を握っててもらう。
  片思いだったら、家族の元に帰る。
  ママはきっと大泣きするから嫌だけど、死ぬことはちゃんと言う。

 0h : 死ぬときはたぶん布団の中
21:15 | や行(横山秀夫) | comments(0) | trackbacks(0)

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