|
評価:
道尾 秀介
新潮社
コメント:物語中に撒き散らされた、小説ならではの伏線。最後までサプライズを与えて続けてくれる作品。怖いです。
|
小学4年の夏、学校を休んだS君にプリントを届けにいった僕は、S君の首吊り死体を確かに見た。
しかし、先生や警察がS君の家を訪れたとき、死体は跡形もなく消えていたのだ―。
そしてS君は生まれ変わり、蜘蛛の姿になって僕のもとへやってきた。
彼は、自分を殺した犯人を告発して欲しいと僕に訴えかけてきて・・・・。
最初はつっこみどころが多すぎて、湧き上がる疑問に何の解説もいれずに黙々と物語を進めるものだから、もしかしたらどうしようもない話か?なんて思っていたのですが。
ほんとうにすみませんでした。私が間違ってました。。
全てが緻密に計算されて作られているという印象。
そしてそれがまた、怖い。
そしてこのトリック(?)が、小説でなければ成しえないというのが、また嬉しいところでもある。
映画化にもドラマ化にも絶対にならない。
つまり読書を楽しめる人でなければ楽しめない作品なのだ。
小説を原作とした映画は多いが、原作の話をする際に、映画しか観ていない人から「あ〜あれね」という感じで話されるのが時々もどかしく思うことがある。
話の筋はだいたい一緒なんだけど!違うから!何がっていえないけど、なんか空気とか違うから!!
という気持ち。
映画を観ただけで原作を読んだつもりになってほしくないという気持ち。
別物だもの。
脱線しましたが。
あまりに上手く出来ていたため、本当に怖くて、他の作品を読むかどうかはかなり躊躇するところ。
他の作品がどういうスタンスなのかは分からないけど、少なくとも本作はホラー好きな人にオススメ。