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若きウェルテルの悩み
評価:
ゲーテ
岩波書店
コメント:恋の病にとりつかれ、治ることのなかった青年ウェルテルの苦悩を描く、あまりにも有名なゲーテの代表作。

 古本屋で100円で購入。
原作は1774年に発表。
購入本は1986年、第42刷。
定価200円。

まず、岩波が良い!
昔のマークがかわいい。
そして今は裏表紙に書いてある本の説明が、表表紙に書かれているのだが、これが良い。
あまりにも良い!と思ったので転載する。


  親友のいいなずけロッテに対するウェルテルのひたむきな愛とその破局を描いたこの書簡体小説には、ゲーテ(1749−1832)が味わった若き日の情感と陶酔、不安と絶望が類まれな抒情の言葉をもって吐露されている。晩年、詩人は「もし生涯に『ウェルテル』が自分のために書かれたと感じるような時期がないなら、その人は不幸だ」と語った。


事実のみを述べているにも関わらず、本への興味を大いにそそられる文章。
インパクトさえあれば良いというかのような最近の裏表紙の宣伝文句には少々辟易していたので、こういう文章を見るとほっとする。


さてウェルテルはものの見事に「恋の病」に陥るわけです。
書簡のほとんどが故郷の友人にあてたものなのですが、数日とあけずに手紙を書いているのにも関わらず、ずーーーっとロッテの話をしている。
好きで好きで好きで好きでたまらない。
だけれども彼女は結婚している。その夫も実に良い人で彼を憎むことすらできない。
気持ちのはけ口をどこにも見出すことが出来ずに、ウェルテルはただひたすらその胸を焦がす他なかった。

人を心底愛してしまうと、それはもう辛い。
幸せも悲しみも、桁違いに深く大きくなる。
難しい、と思う。
叶わない恋にいつまでもすがりついて胸をかきむしる友人を見たら、「そんなに苦しんでいないで新しい恋を」と誰もが言うと思うが、1人の人を一途に愛してしまったら、他の人を同じほどに愛せることが当人に信じられるはずもない。
それほどまでに生涯に1人の人を愛せるというのは幸せなことなのだろうか。
ウェルテルは果たして幸せ者と呼べたのか?

兎にも角にも、情熱!
ひとりの男の情熱が、これ以上ないほどに溢れかえった物語。
力作。

00:44 | 海外(ゲーテ) | comments(0) | trackbacks(0)

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