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評価:
山登 敬之
日本評論社
コメント:とある精神科医の思う色々。
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図書館で題名が可愛いなーと思って棚から抜いたら。
おっと表紙が荒井良二。
ヤマトって誰だか知らないけどまあいいかと思って借りました。
どんだけ荒井良二好きやねんと自分つっこみ。
でもわりと興味深い本でもありました。
1章1章が短く、文章も読みやすいので1冊さらっと読み終えちゃいます。
診療にきた患者さんのこととか、そのほかのことも色々載ってるんだけど、
面白かったのは、精神科医のお医者さんといえども、普通の1人の人間なんだなということ。
患者さんに心無いことを言われれば辛いし、むかっともするし、
働きすぎたくないから患者さんは少ししかとらない。
治療方法に悩んだり、何もできなくて悔しい思いをしたり、これでよかったのか、あれでよかったのか・・。
不安な患者さんを前にして堂々とした態度で安心させることが必要だと思うのだけれど、内心では先生も不安だったりするんだね。
題名になった素敵なエピソードをひとつ紹介。
小学校に通えなくなった娘が、姉妹喧嘩をして姉に言いくるめられ、言い返せずにわあわあ泣いていると、父親がこう言った。
「お姉ちゃんは上手に自分の気持ちを話せるんだね。それはこころの色を表す36色の色鉛筆を持っているからなんだ。それに比べて君はまだ3色の色鉛筆しか持っていない。でも大丈夫、これから1本ずつ増えていくから」
その父親は自分は3色しか持たないまま大人になってしまったと言った。
それに対してヤマト先生はこう思う。
どうやらこのパパの持つ3本の色鉛筆は月並みの三原色ではなく、どこの文房具屋にも売っていない、淡く深い色合いをもったものなのだろう、と。
余談だけどヤマト先生とは本の趣味があうと思う。