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評価:
青山 七恵
河出書房新社
コメント:21世に生きる、生きる意味や将来に悩める乙女に贈る1冊。
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高校を出てからフリーターとして働いてきた知寿だが、母親の中国転勤を機に、東京で吟子さん(御歳71歳)との2人暮らしが始まる。
知寿はものすごく今どきのハタチの女の子だ。
傷つかなくてすむように、いつもどこかで手を抜いている。
人が好きで、寂しがり屋だから、余計に人と真剣に向き合わないようにする。
将来のことを考えろという母親とも。自分が何をしたいのかも。
好きだった彼にふられても泣かない。なんでもないフリを貫く。
そんな彼女は、吟子さんを前にして徐々に気がつき始める。
若さゆえのモラトリアムがそう長くは続かないこと。
若さが時に老人に刻まれた皺1本に敵わないこと。
そして最後には、「幼かった自分」を手放し、人生の駒をひとつ先へと進めていく。
芥川賞受賞作。
若干青くさいが、なかなかしんみりと読める作品。
10代後半〜20代前半女子向け、かな。