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好かれようとしない
評価:
朝倉 かすみ
講談社
コメント:恋に不器用な女性たちへ。

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いまどきめずらしい、うぶな少女、風吹。
メイクもオシャレもよくわからない、男性経験は好きでもない男との一度きりだけ。
すぐ真っ赤になる顔がコンプレックスで、小さい頃のあだ名は「ゆげ」。
そんな風吹が恋をしたのは、ベリーダンスの先生と不倫をしている鍵屋だった。

朝倉かすみにしてはめずらしく(?)爽やかな物語。
恋とはなんぞや、を語る、女子的「あるある」「わかるー」がちりばめられた話。

主人公風吹の大家のおばあちゃんがとてもいい。
齢70を越えても、彼女の仕草は「女」である。
そして格言は彼女の口から多くが語られる。

「あれこれ思うは人の心、ふっと思うは神の心」
「自分を愛しいと思えない女になにかを期待するひとなんて、いない」
そして、「好かれようとしないこと」

男の人には申し訳ないけれど、やっぱり男って単純でおばかさんだと思う。
「彼を振り向かせるテクニック」なんて腐るほどあって、「彼を振り向かせるメイク術」なんてものもあって、
なりふりかまわなければ、自分の見た目やら相手のステータスやら諸々を妥当な線で考慮すれば、「彼」を「振り向かせる」ことはさほど難しいことじゃないと思う。
でもその彼のことがほんとうに好きで、その彼にほんとうに自分の全てを好きになってもらいたいと思ったら、そういうテクニックではどうしようもない。
恋に落ちるのは、「ふっ」と思ってもらうしかないからだ。

やっぱり恋は、「する」ものではなくって、「落ちる」、もしくは「出会う」という言葉がしっくりくる。
赤い糸や運命なんて言葉は恥ずかしいけど、恋に落ちる人には落ちる、振られる人には振られる、そういうことはもう決まってるんじゃないかなあと思う。
だけど仲良くなるための、お互いを知り合うためのきっかけを作る勇気は必要だ。
ということを風吹に教わった。
やっぱりすれ違っただけじゃ恋なんてうまれないもの。




22:58 | あ行(朝倉かすみ) | comments(0) | trackbacks(0)
夫婦一年生
評価:
朝倉 かすみ
小学館
コメント:朔郎と青葉のリアル新婚生活。

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オトメという言葉からはちょっと離れたところで生きていた青葉。
結婚なんてしないんじゃないかと思っていた矢先に、付き合っていた朔郎が転勤することになり、プロポーズされる。
物語はふたりが新婚旅行から帰ってきたところから始まる。
結婚式、ハネムーンを追えていよいよ2人の関係が「生活」に変わるまさにその瞬間からだ。

どのお土産を誰にあげるかで揉め。
料理の味付けで一悶着し。
仕事をやめて専業主婦になり、自分の世界が狭くなったことへの苛立ち。
夫の給料で家庭という会社を運営していくことへの気負いと、旦那との温度差。
夫の家族との接し方。
ご近所付き合い。

泣いたり笑ったりしながら、確実に「主婦」になっていく青葉の奮闘記である。
軽いタッチで読みやすい。
読み終えたあとにほっこり出来る良作。

23:08 | あ行(朝倉かすみ) | comments(0) | trackbacks(0)
田村はまだか
評価:
朝倉 かすみ
光文社
コメント:小学校の同窓会。到着の遅れる田村を待つ男女。それぞれの思い出を覗きながら、最後にはしんみり心を温かくできる良作。

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ゴロがいいね。田村はまだか。

今まで読んできた朝倉かすみ作品とは少し雰囲気が違うなあと感じた。
悪い意味ではなく。

登場人物は大きくわけて7人。
田村を待つ小学校の同級生5人と、バーのマスター、そして田村である。
田村を待つ間、本書は5人の短いストーリーを提供してくれる。
営業で働く池内暁の、「パンダ全速力」
19も年下の男の子に恋をした保健の先生、ちなっちゃん。
モテモテなのに童貞の坪田隼雄は、19下の隣の家の娘、美佳ちゃんにブログを通じて恋をする。
不倫関係にあった永田一太と伊吹祥子。浮気がばれて離婚することになったマスターの花輪春彦。

それぞれに悩みがあって、それを見せたり隠したりしている。
40代という年齢と、小学校の同級生という気の置けない関係とが混じった微妙な匙加減が絶妙だと思う。
ひとつひとつのエピソードを美味しくいただきながら、田村を待つ。
帯や裏表紙の解説の「勇気をくれる」「怒涛の感動」とはちょっとずれてるのかなーと思うのだけれど。
さっくり陽気に楽しめる作品だと思った。
スタンダードというか。

個人的にはコレまで読んだような女子のどろっとした作品も好みだけれど、一般うけするのは間違いなく本作だろうと思う。

23:40 | あ行(朝倉かすみ) | comments(0) | trackbacks(0)
肝、焼ける
評価:
朝倉 かすみ
講談社
コメント:人生にけつまづいたアラサー女子が立ち上がる話たち。男の人にわかるかなあ。わかってほしいなあ。このきもち。肝やけるわあ。ってきもち。

 目次

肝、焼ける
一番下の妹
春季カタル
コマドリさんのこと
一入(ひとしお)


ああ。25になった今改めて読み返すと、ものすごく「わかる」本だった。
若さと老いの狭間。
夢と現実の狭間。
男と女の間に立ちはだかる壁。
煮え切らない男。

それでもこの本の中に登場する主人公たちは、最後には皆立ち向かうことを決意する。
主人公たちは皆一見どこか情けなかったり、滑稽にみえることもあるかもしれないが、
それはどうしようもなく、女になら誰でも起こりうる事実であり、
特に彼らの立ち位置につくにはほんの少し早い私の年代の女子にしてみれば
ものすごく勉強になるぜ、ってな感じなわけで。

まさに30代独身女子に送る応援歌といえる1冊。

23:04 | あ行(朝倉かすみ) | comments(0) | trackbacks(0)
ほかに誰がいる
評価:
朝倉 かすみ
幻冬舎
コメント:ほかに誰がいる―。「あのひと」に出会って恋に落ちたその日から、一瞬たりとも正気にかえらずにひたすら谷底に落ち続ける少女の物語。圧巻である。

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16歳だった。
あのひとに出会うまで16年もかかってしまったという気持ちは、後悔に少し似ている。

(本文より引用)


電車でとある少女にひとめぼれしたえり。
その日からえりは、永遠に落ち続けるジェットコースターに乗ってどこまでも滑りおりていく。

恋は盲目、というが、それは時にきょうきだ。
ストーカーが生まれ、変態が生まれ、人殺しが生まれる。
彼らは正気と狂気の境界線を越え、恋心を凶器にしてときに愛する人に、ときに愛する人が愛する人へと牙を剥く。

初めて恋に落ちたとき、そのひとの鉛筆1本も大切で、使っていた机をそっとなぞるだけで幸せな気持ちになった。同時に背徳心を覚え、うしろめたくもなったものだ。

えりは振り返らない。自分の気持ちと行動をうたがわない。そして冷めない。ほんの0,1度さえも。

美しい恋心と狂気は紙一重だ。
もしかしたら、リスクのない恋心なんて嘘っぱちなのかもしれない。
そんなことを思わせられてしまう物語。


17:39 | あ行(朝倉かすみ) | comments(0) | trackbacks(0)
そんなはずない
評価:
朝倉 かすみ
角川書店(角川グループパブリッシング)
コメント:婚約者に逃げられたあげく、勤めていた会社もつぶれた。齢30、独身女の主人公、鳩子。「こわい、巧い」という帯の文句がしっくりくる。そんなはずはないのに、この本1冊で1人の女性をまるまる理解してしまえるような言葉の羅列だ。今までの人生、ちょっとずるいことも気恥ずかしいこともしてきた。そんな女子におススメ。

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あれ。朝倉かすみ初レヴュー?あと2冊くらいは読んだはずなのに。
さぼると駄目ねー。


さて、やっぱりこの作者さん好き。
なんでかというと、ぶりぶりしてないから(笑)
男っぽい感じがする。
文体がっていうわけではなくて、それはむしろ明らかに女性作者の女性向け物語なんだけど。
素の女の人を描いている気がするから。すっぴん、って感じ。

婚約者に逃げられ職を失った鳩子なんだけれども、新しい恋人が出来てちょっと浮かれ気味。
元彼は30にして多いんだか少ないんだかわかんない「8」。
そのうち「7」は「軽率」。
「9」になる男は、妹の好きな人だった。

せっかく臨時でも職が決まったのに、「つなぎだから」と言ってしまう鳩子。
ケーキを食べ、口についた生クリームを中指でむぐう鳩子。
職場で着る服、髪、歩き方、使うマグカップのことを考える鳩子。
元彼のアドレスを消さずにとっておく鳩子。
男の人に手料理を振舞うときはひき肉いりオムレツと決めている鳩子。
昔の男にメールを送り、寝てしまった鳩子。

程度の差はあれ、似たようなことをしてしまう女性は多いはず。
でもそれを人に知られたら恥ずかしい。
「うわーそんなこと考えてるの」と思われるだろうから。
でも、女の子なんだもん。
可愛く見られたい。
素敵に思われたい。
駄目だと思っても誘惑に負ける時だって、ある。

だけどひとつひとつの、ほんのちょっとした恥ずかしいことが積み重なって
20代も半ばにさしかかれば、自分が「汚れてしまった」と感じるようになる。
もう純粋だった自分には戻れないんだと。

そんなとき、綺麗な心の人と恋をしたら。
きっと自分の都合の悪い過去を全部忘れて消して隠してなかったことにして
その人と付き合いたくなると思う。
でもそんなとき、鳩子の前に現れたのは、興信所の探偵・・・。

鳩子を見てると、ちょっといとおしくなってくる。
やってみたいけど恥ずかしい。
そんな風に言いたいけど言えない。
ちらっともたげる思考を、いやいやそんなこと、と否定する。
ほんのちょっとしたことで越えられずにいるハードルを、鳩子はひょいっと越えて
それで誰かに咎められて恥ずかしくなったりしている。私のかわりにやってくれてる。
そんな気がして。

彼女はたぶん、「ふつうよりほんのちょっと駄目な女」なんだと思う。
そしてそんな絶妙なバランスを保ちながら物語を完成させた作者に敬服。




13:27 | あ行(朝倉かすみ) | comments(0) | trackbacks(0)

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