|
評価:
小川糸
ポプラ社
コメント:家に帰ると、部屋はすっからかんになっていた―。恋人になにもかも持ち逃げされた倫子は、実家に戻って食堂を開くことを決意する。
|
ひとことで言えば、やたらと「鼻につく」物語だ。
そう思うのは私がひねくれているせいなのかもしれない。
まず恋人がいなくなったショックで声を失う。
これも、鼻につく。
そう簡単に、今まで話していた人が声を失うもんじゃない。
そのことに対して特にショックも受けず、よくあることのように受け止めて対処する
主人公の行動もまた鼻につく。
確信犯じゃないの?傷ついたことを周り(読者)にアピールしようとしてるんじゃないの?
という気持ちになる。
そして作る料理の全てが周りの人に何かしらのプラスの影響を与えるということ。
そんなさあ
うまくいくもんですか?
そんな素晴らしい力を手にしたことの理由づけが
おばあちゃんから教わった、才能がある、それだけじゃちょっと納得いかない。
来る客来る客全てに「奇跡」を起こしておきながら
自分の料理に対してみせる臆病さもなんだか鼻につく。
まあ話題作に対しては評価が厳しくなる私です。